ファーストキャリアは、コンサルか、事業会社か。両方を経験した、CFOだからこそ言えること。

ヴァイスプレジデント財務・管理本部長 最高財務責任者(CFO)
カレン・チェン

グローバル化や急速な経済環境の変化に伴い、ファイナンス(経理・財務)部門の役割も大きく変わってきている。従来は数値の管理をするという、どちらかというと「守り」の役割が大きかったが、いかにビジネスを伸ばすかという「攻め」の役割も求められるようになってきた。

ビジネスにおいてますます存在感を増すファイナンス職。就職活動で選ぶ会社は、幅広く多彩な案件を手がけられるコンサルティングファームが良いのか、当事者として主体的にビジネスに向き合える事業会社が良いのか。悩む学生も少なくないだろう。

今回は、戦略系コンサルティングファームを経て、日本ロレアルでCFO(Chief Financial Officer、最高財務責任者)を務める、コンサルティングファームと事業会社の両方を経験したカレン・チェン氏にお話を伺った。

当事者か、伴走者か

(以下、カレン・チェン氏の語り)

もともと私は、FMCG(Fast Moving Consumer Goods:日用消費財)メーカーや戦略系コンサルティングファームに勤務していました。2003年にロレアル台湾でロレアルでのキャリアをスタートし、2010年に日本ロレアルに異動、ロレアル リュクス事業本部のディビジョンコントローラー(事業本部付の財務担当)を経験した後にロレアル台湾に戻り、CFOに就任しました。2017年からはよりマーケットサイズの大きい日本のCFOに就任し、現在に至っています。グローバルなキャリア形成ができるロレアルならではの経験を積ませていただきました。

ロレアルのファイナンス職とコンサルタントで似ている点は、戦略パートナーとしてビジネスに積極的に関わることができる点です。ただし、ビジネスへの関わり方には大きな違いがあります。一般的なコンサルタントはアドバイスを与えるところで終わってしまいますが、ロレアルでは、そこからさらに深くビジネスサイドに入り込み、重要な経営判断に関わっていき、結果も当事者として見えます。ファイナンス職であっても、消費者や市場、ビジネスモデルを理解し、当事者として意思決定し、そして実行をしていくという点が大きく異なります。

確かに、コンサルティング会社のほうが様々な業界企業に関わることができるかもしれません。一方で、ロレアルという1つの企業に深く入りこむことで、経営メンバーの一員として、企業のより良い未来のため重要な決断をしているという達成感を味わうことができます。

企業の未来について考える際に重要なのが、理想を掲げるだけではなく、今後の施策について現実的に考えるということです。ビジネスサイドにいるとよくわかるのですが、「わかってはいるけどできない」というジレンマが多々見受けられます。ロレアルのファイナンス職では、そうした悩みも理解したうえで、単なるアドバイスから一歩踏み出し、より現実的な戦略を立て、実行していくことが可能なのです。

FMCGのファイナンス職と比較しても、ロレアルのファイナンス職のほうが携わる業務範囲が格段に広く、「こうしたい」という自分の思いを実現していく面白さを実感することができます。

私がロレアルを選んだ理由もここにあります。数字の管理を超えて、自分が下した決断がどんなビジネスインパクトを与えるのかまで見ることができ、うまくいったときは称賛を受けることができます。ときにはうまくいかないこともありますが、そこはロレアルの「Test and Learn」という企業文化で、次へのモチベーションに繋げていくようにしています。

ロレアルで求められるファイナンスの役割

日本ロレアルCFOである私の主な職責は、ビジネスパートナーとしてファイナンス面で各事業部に必要な助言をすることと、人材育成を行うことです。

ロレアルのファイナンス職は幅広い業務を求められます。一般的にFP&A(Financial Planning and Analysis)と呼ばれる、会計・内部監査、購買といった業務に加え、事業部のビジネスパートナーを担うコントローリングという業務もファイナンス職の仕事です。その中でも、ビジネス戦略に関わることが多く、戦略を理解した上で資源配分等のアドバイスを行っています。自らの判断を反映し、ビジネスに大きなインパクトを与えることができるため、非常に刺激的でやりがいのある職種だと思っています。

ロレアルは現在、化粧品メーカーからBeauty Techカンパニーへと変革を遂げつつあり、ファイナンス職はそれを現実にする為の立役者なのです。

1年目から「ブランドCFO」、起業家精神が求められる最前線へ

ファイナンス職は全体で40人以上いる組織(※2020年9月時点)で、購買チーム、内部監査チーム、会計財務チームと、4つのビジネス事業部に紐づくコントローラーチームに分かれています。

そんな様々な仕事があるなかで、「どんなバックグラウンドを持つ人が働いているの?」と聞かれたら、あえて「特徴はない」と答えます。ロレアルは多様性を重んじる会社で、メンバーは学生時代の専攻も、経験もすべてばらばらです。入社後に進むキャリアもさまざまで、各自が違う道を歩んでいきます。もちろん欠員があれば、そこにふさわしい人材をマッチングしますが、あくまで重視するのはポテンシャルです。実務的なスキルはその仕事に就いてからのトレーニングで十分身に着けることができるので、採用当時のスキルや経験だけを重視しません。強いてあげるなら、論理的な思考を身につけている理系マインドの学生は、事実を分析してアドバイスをすることに長けているので、ファイナンス職には向いているのではないでしょうか。

ポテンシャルの有無を判断するものさしは、起業家精神、自ら責任感を持ってことにあたる姿勢を持っているかどうか、自分から学び、決定を下し、また決断するというサイクルを実行する意欲があるかどうか、仕事や人生に対する情熱と学びに対するオープンな姿勢を持っているかどうかです。

例えば、コントローラーの仕事では、入社1年目から比較的小規模のブランドではあるものの、そのブランドのCFO のように働くため、かなり責任ある仕事が待っています。こう言うと「大変そうだな」と思うかもしれませんが、安心してください。頼りになるメンターが常に周りにいて、充実したe-learningシステムも用意しています。ロレアルは人材育成にとても情熱を持っていて、若い社員に成長の機会と大きな裁量、そしてさまざまなチャンスを惜しみなく与えます。

ちなみに、私の強みは“柔軟性、適応力、そして人材開発への情熱”。私自身、新しい人に会うのも、新しい学びにチャレンジするのも大好きですが、私のビジョンは日本のメンバーが国内外問わず自身のキャリア展望に合わせて、より責任のある業務に挑戦する環境をつくり、グループのタレント育成を実現し続けることです。

ロレアルファイナンスで旺盛な好奇心を満たそう!

私自身の話をすると、海外で働きたいという希望を学生時代からずっと持っていました。いくつかの会社を経て思うのは、ロレアルはそうしたグローバルな夢を実現しやすい職場であるということです。その要因は、上司との面談などを通じて、自分の考えや想い、キャリアビジョンを発言する文化と場があることです。「意見は言うもの、キャリアは自ら作り上げていくもの」という価値観が浸透しているのです。

入社して私が驚いたのは、発言を推奨する文化でした。会議でも、肩書きに関係なく全員に発言権があり、発言の重さも均等です。異なる意見があることを前提に、さまざまな角度から議論し合い、1つの結論を出していく。こういう文化があることをとても誇りに思っています。

また、ロレアルはジェンダーの公平性が文化として根付いており、男性でも女性でも同じようにキャリアを構築できます。ワーキングアワーも柔軟なので、育児をしながら自分のキャリアを築きあげている女性もたくさんいます。

ロレアルは、個人の成長も尊重し、キャリア形成にも非常に恵まれた環境を用意していると自負しています。学ぶ意欲があり、グローバルな視野を持ち、好奇心旺盛で新しいことへのオープンマインドを持つ人なら、この環境を活かして望む未来を手に入れることができると思います。あなたの強みを信じて、一緒に働きましょう!

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