技術が業界を変えていく。膨大な顧客接点、その先にある課題解決と向き合う技術者集団の素顔とは。

日本でもトップクラスという膨大な顧客接点を持ちながら、スタートアップのような開発環境で、「金融」という超巨大産業の課題解決に挑戦している技術者集団がいる。三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社(以下MUIT)だ。同社はアジャイル開発手法を活用するなど、「サービスは小さくスピーディに」をモットーにしている。特に先進技術・高難度技術を活用し、ビジネス価値の創出を行うデジタルイノベーション本部においてはフレームワークにReact Nativeを採用したり、コンテナ技術を活用するなど、スタートアップ顔負けのスピード感で開発に取り組んでいる。

日本の預貯金は1000兆円を超す(*)と言われており、その中でもトップランナーの三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)が社会に与える影響力は非常に大きい。そんな環境で働く人たちの生の声を聞いた。

*日本の預貯金は1000兆円を超す:2019年度末、日本銀行発表より

変化していく「開発現場」の実態、新しい常識をインストールし続ける

髙橋 博実 2006年に電気通信大学を卒業後、新卒でMUITに入社。
同社にて最年少で部長就任という実績を持つ。3人の子どもを持つパパ。

デジタルイノベーション本部においてR&D推進を行うデジタルプロデュース部の髙橋さんに話を伺った。学生時代、周りの友人は大学院に進んだり、メーカーに就職するケースが多かったという。そんな中、「早くから技術を、手に職を付けたい」と考えてSIerへの就職を検討していた。入社から10数年をMUIT で過ごして来た髙橋さんに、入社当時と今の開発現場の違いについて伺った。

髙橋:そもそもユーザー系のIT会社は国内大手SIer企業と組み、ある程度要件を整理し設計書を書いて、そのあとの開発は一任する、というところが多かった。弊社も大部分はそうだったと思います。それが、そのようなスタンスでは開発会社として生き残れない。ここ5年で会社の考え方は大きく変わってきました。

自分たちでも開発を担うことでコア技術をしっかりと内製化していく。それはつまり同時に、「自分で手を動かせて開発できる人が活躍できる組織になってきた」ということでもあります。一昔前までは、銀行というと「いかに大きなプロジェクトを回すか」というスタンスの人が多かったと思います。今では、プロトタイプを作ってユーザーにフィードバックをもらいながら、アジャイルで開発を進める部署・エリアも少しずつ増えてきています。

規模の大きい会社だと、政治的な動きや、組織が大きくて動きにくい、結局技術を磨いてもキャリアが見えない、ということはないのだろうか。

髙橋:わたしを部長にするあたり、「そういったことはない」の証明なんじゃないかなと(笑)新しいことをやる、風穴を開ける、外から技術を持ってくる、ということをとても評価する会社だと思いますね。また、開発単位が小さくスピーディになったことで、チャンスが回ってくる頻度も増えています。パートナー企業との情報交換や、海外のチームとの技術議論などにも若いうちからどんどん参加させてくれるし、人材育成にはかなり投資してくれる。技術に自信がある若手にとっては非常に働きやすい、働きがいのある環境が整ってきたと感じています。

部長職は戦略や組織の話が多くなるのは当然ですが、わたしの仕事の2割は技術の話。今でもソースコードレベルで読み書きして技術検証は行っていますし、Githubに個人開発したものを頻繁にアップするようにしています。また、各種技術コミュニティへの参加は習慣化しています。

スタートアップでもシリコンバレーでもなくMUITを選んだワケ

尾根田倫太郎。東京電機大学卒業後、2011年新卒入社。
好きな言語はC++。処理速度こそパワー。

続いて、同じくデジタルプロデュース部でビッグデータ分析、ブロックチェーン技術、拡張現実技術などの研究開発に従事している尾根田さんに話を伺った。尾根田さんは、常日頃からMUFG内の研究開発プロジェクトのメンターを担当するほか、SpringBootというフレームワーク機能拡張やマイクロサービスアーキテクチャの社内への推進など、幅広い業務を担当している。さらに論文の執筆や学会発表までこなす尾根田さんだが、およそ10年のキャリアの中で転職や、他の道は考えなかったのだろうか。

尾根田:もちろん、「転職してスタートアップに行った方が成長できるのではないか」「場合によってはシリコンバレーに行くというチャレンジをした方が、もっとスキルアップできるんじゃないか」と考えたことはあります。でもそうした場合と、MUITで仕事を続けていくことを比較してみたとき、結論「MUITのほうが成長できる」と考えたんですね。それはなぜかというと、弊社が「質の高い先端情報」に触れる機会が非常に多いからなんです。世界的なコンサルティング企業やSIer、国内外のスタートアップ、大学などの研究機関の人たちと、フラットに議論できる。この機会は何にも代え難いし、自分の成長を強く支えてくれているなと感じています。

「日本の金融の未来を創っていく」という感覚

秋田 佳紀。大阪市立大学大学院卒業後、2014年入社。
社会貢献度が高く、生活とも密接な「金融」と、興味があった「IT」を軸に就職活動をしており、中でも「人」でMUITを選び、就職した。

最後に、入社して6年、「マネージャー」として部下とともに仕事をしていく立場になったばかりという秋田さんに話を伺った。入社当初は「スキルがほとんどなかった」という秋田さん。2年目からR&Dを推進する現在の部署への配属となったが、当初は自分の至らなさに心が折れたこともあったという。

秋田:当時はR&Dという仕事のギャップや、引き継いだ業務に対するスキル不足などもあり、なかなかうまく仕事をこなせず自信を持てずにおりました。そのようなわたしを見かねてか、当時の上司であった尾根田と2人で新規研究テーマとしてブロックチェーンの研究業務をはじめるというチャンスをいただきました。これが大きな転機になったと思っています。研究の⽅向性についてわたしの意⾒もくみ取られるようになり、チャレンジする機会も数多く与えられ、少しずつではありますがチームに貢献できているという実感がわき、⾃信にもつながっていきました。新テーマということでスキル差なく皆初めてのことだったので、努力すればそれを実感できるという環境もモチベーションにつながりましたね。

現在はマネージャーとして、風通しよく、メンバーが仕事に集中できる職場環境を作ることを目標にしているという。

秋田:MUITは本当に「学ぶこと」に投資してくれる会社で、わたし自身実績を出すというより、機会をいただいて、学ぶことに費やす時間が長かったと思っています。一方で、マネージャーにもなり、今はそろそろ実績が求められるフェーズだと認識しているため、研究してきたことをどのように社会に役立てていくかに腐心しています。

現在日本はキャッシュレス化を始め、Fintech領域では非常に遅れてしまっていると感じています。正直、「当社がやらなかったらどこがやるの?」という気持ちでいます。でもそれは責任感とかそういう気負いというよりは、使命感とか、やりがい、という言葉の方が近いかなと思いますね。わたしたちの部署は先進技術の研究自体は重視していますが、一方で「それって社会でどう使えるの?何に役立つの?」という視点をそれ以上に重視しています。技術活用の先に、顔の見えるユーザーの皆様がいる、というのはやっぱり楽しいですね。

編集後記

今回、MUITを取材して、驚いたことが2つあった。

ひとつは、良い意味で「金融×IT」の当たり前が大きく変化していっているということ。MUITでは、アジャイル開発やReactの採用などのほか、ARやブロックチェーン、人工知能など幅広い領域の技術チャレンジをしていた。金融というとシステムが巨大すぎて、ずっとレガシー技術のメンテナンスをしているようなイメージを持つ人もいるかもしれないが、その認識は改めなければならないだろう。

もうひとつは、現場のエンジニアが人材採用にものすごく前向きで積極的なことだ。同業他社では、少なくない割合で「エンジニアが忙しくて採用活動には工数を割けない」という話を聞く。MUITはそういった面をどう捉えているのか聞いたところ「会社の10年後を考えた時に、採用以上に大事な業務がありますか?」と当然のように返されてしまった。人に期待し、人に投資している会社なのだと強く感銘を受けた。

三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社 
採用HP:http://www.it.mufg.jp/recruiting/fresh/


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