あなたは、技術でどんな未来を描きますか?富士通が主催する学生向けハッカソン「Hack the Future」開催レポート

2019年11月30日〜12月1日、東京都大田区にある富士通ソリューションスクエアにて、富士通株式会社が主催する学生向けハッカソン、「Hack the Future」が開催されました。今回はSDGsに紐づいたテーマで、学生は社会に貢献できるビジネスアイデアの発案から、そのデモの開発までを2日間で行います。26名7チームの学生たちがそれぞれのアイデアを、それぞれの技術で形にする、熱い2日間となりました。

「社会課題を解決できることにこそ価値がある」、技術の富士通がSDGsにチャレンジ

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標であるSDGs

富士通はその技術力で、様々な形でSGDsに対して貢献しています。今回は、その中でも特に学生が身近に感じることができるであろう「2:飢餓をゼロに」「3:すべての人に健康と福祉を」「11:住み続けられるまちづくりを」の3つをピックアップ。その中から学生が選択し、自分たちでビジネスアイデアから開発までを行なっていきます。

富士通のSDGs貢献の範囲は広く、例えば再生可能エネルギーである風力発電のメンテナンスを行うAIを開発。その不良検知率は100%、検査時間の80%短縮を実現しています。その他、がんのゲノム医療におけるプロジェクトを京都大学と共同で実行。このプロジェクトで開発されたAIにより、がんの原因遺伝子の特定にかかる医師の作業期間を2週間から1日に短縮することに成功しています。こうした「技術」を着実に「社会課題の解決」につなげる富士通のメンターたち伴走のもと、Hack the Futureがスタートしました。

1日目:アイデアソンから開発まで

学生は、事前に3つのテーマから取り組みたいテーマを1つ選択し、そのテーマに関わるソリューションを事前課題として持ち寄ります。この事前課題の内容は、実際に開発したいサービスの概要、動作プラットフォーム、イメージ等をまとめるというものです。この事前課題を、当日同じチームメンバーに発表し、それぞれのアイディアを持ち寄って、取り組みたいサービスの内容をブラッシュアップ、その後アイデアを実現させるための開発工程へと移っていきます。

今回の開発環境は各チームのサービスに沿ったものを各自で考え使用するため、チームによってアウトプットに個性が出るような形となっています。富士通社員も入りながら開発に取り組み、チーム全体で開発やフォローをしないながら進めていました。

成果発表・プレゼンテーション

2日目の午後。単なるデモの発表だけでなく、社会にどういった課題があり、何のためにそれを解決するのか、という視点からプレゼンテーションが行われます。技術力を社会課題に役立てる富士通らしい構成になっていると言えるかもしれません。

例えば廃棄されてしまう大量の食品、社会的弱者の人が気軽に使えない公共交通機関、災害時の安全対策が訪日外国人の方達に十分に提供されていない、など様々な課題に対し、アプリケーションでの解決策を提案していきます。

プレゼンテーションの中には、プロダクトのデモだけでなく、システム構成をどのように設計しているのか、言語選定をどうしているのか、などの説明もされました。技術選定は主にチームの中でどういったスキルを持ち寄ったか、という視点で作られていますが、Vue.jsやiBeacon、Firebaseにチャレンジしたりと、比較的新しい技術を使って開発にチャレンジしている学生が多いことが印象的です。発表の中には「Githubを使ったチーム開発が初めてで戸惑った」のような、非常にリアルな課題も聞かれました。

各チーム、スライドには必ず「システム設計」のページが設けられている

農業人口が減っていく中でいかにノウハウを残していくのか、特に若年層においてスマートフォンの中毒化をどう防いでいくのか、災害大国日本において災害時に最適なソリューションは何か、など様々なテーマが発表されていきます。

他チーム発表への質疑応答も

一時間の展示会を通じて白熱する議論

プレゼンテーションの後には「展示会」の時間が取られました。発表だけでは伝えられなかった部分を展示会で学生が自分たちのデモを展示し、自由にテーブルを訪問することができる時間です。

席を立ち自由に議論する学生と社員たち

「災害時は通信状況が不安定になるため、サーバー通信ではなくBluetoothを使ったiBeaconの通信を、Node.jsによって実現しようとチャレンジしました」のような、実際に利用シーンを想定した、まさに「課題やユーザーを主語にした」議論が繰り広げられています。

デモや技術選定に対して身を乗り出すように聞き入る他チームのメンバーたち
展示会の時はメンターも各テーブルを回り、ビジネス視点、技術視点からさらにアドバイスをしていく

プレゼンテーションの時は緊張していた学生さんも、展示会では非常に活発に議論をしています。自分たちのスキルをさらに高めたいという貪欲さが伝わってくる一時間になりました。

PCのカメラに車椅子の画像を写し、それをGoogleのVisionAPIが分析、結果をアプリケーションに戻す、というデモを行う、チーム「Enjoython」

表彰、機会技術も取り入れた実装力も高評価に

今回は、投票により優秀賞を決めるという形が採られています。各チームが1票、そしてメンターが1人1票を持ち、投票します。投票の際は、漠然とではなく、明確な評価項目があり、それに沿って他チームを評価していくことになります。

賞は2つ。メンターによる得票数が最も多かった「富士通賞」、そして全体としての得票数が最も多かった「最優秀賞」です。

富士通賞はスマートフォンの利用データをもとにスマホ中毒を予防するサービスを開発したHHCが獲得しました。要因として、開発後のビジネス展開まで明確にされていたことや、Androidアプリの開発まで行っていたことなどが評価されました。

富士通賞を受賞したHHCの皆さん(左3人)

最優秀賞はEnjoython。車椅子の人がもっと気軽にスムーズに電車に乗るためのソリューションを提案、開発しました。社会性の高さとアイデア力、そして画像認識技術で車椅子を判別して結果をアプリケーションに返す、機械学習とアプリケーション開発の技術力が評価されました。

名前の通り、ハッカソンを楽しんで、チーム内コミュニケーションを大事にしたとのこと

プレゼンテーションの後は、全チームに対して10分×2回、メンターから丁寧なフィードバックが行われました。チーム内で方向性が割れたときのプロジェクトマネジメント方法、自分たちのアイデアが富士通でビジネス化できるようになったらどこまでが自社の役割として介在できるのか、など、非常に具体的で高度な意見交換がされていました。メンターからも「ハッカソンでは、よく『書ける人に頼ってしまう、ペアプロみたいな状況』が見られるが、今回は全員で書いているチームが多かったのも印象的」という評価が聞かれました。

これから必要になる「エンジニア像」

会の最後には、人事部の方からも学生に対して熱いメッセージが送られました。

「今回はプログラミングコンテストではなく、『自分たちの技術でどうやって世の中に貢献できるんだろう』という視点を大事にしてます。これは我々富士通に閉じた話ではなく、日本はもちろん、世界で共通のテーマであると考えているからです。技術を強く、太く追求していく一方で、それでどう社会貢献できるのか、それを常に考え、贅沢を言えばそれを『表現できる』ようになってほしいと願っています。技術を学んだ先にどんな世界があるのか、どんな自分があるのかに気付くことで、学校に戻った時、より一層成長してほしいと思っています」

ハッカソンに来た経験をどう次に活かすか、と学生の成長に重点を置いて話す姿が印象的でした。

2020年2月、富士通のハッカソンに参加するチャンスが!

2日間に渡って開催されたハッカソン「Hack the Future」。学生にとって非常に有意義な場になったのではないかと感じられました。学生も、ハッカソン参加を通じて、富士通エンジニアの技術レベルの高さや、技術を課題解決に活かそうとする姿勢に刺激を受けていたようです。実はこのハッカソン、2020年2月に、東京と大阪でそれぞれ開催を予定しています。興味を持った学生さん、ぜひ参加してみてください!2月のハッカソンは2019年12月中旬から下旬にかけて告知開始予定です。

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