グリコと学ぶ「食+AI 」コンペティション+ビジネスコンテスト3Days -2020 Summer- 最優秀賞 増田凱斗 さん
2020年8月22日、8月28日、9月5日の3日間にわたり、「グリコと学ぶ「食+AI 」コンペティション+ビジネスコンテスト3Days -2020 Summer- 」がオンライン上で開催された。今回のイベントは、モデル精度を競うコンペティションと、テーマに沿ってAIの活用アイデアを考えるビジネスコンテストがひとつになったプログラム。昨年も好評だった本イベントだが、今回はテーマやデータをさらにバージョンアップした形で開催された。
イベントは、コンペティション部門とビジネスコンテスト部門の二部構成だ。コンペティション部門では、本イベントのために特別に提供されたデータを用いて、特定時期のキャンペーン応募者数の予測を実施。ビジネスコンテストでは、AI時代においてグリコが行うべきサービスについて考案し、プレゼンテーションを行なった。初日から最終日までの二週間は準備期間とし、各自与えられた課題に基づいてモデルやプレゼンテーションの作成を行なった。また、2日目にはグリコのことをより深く学ぶためのオリエンテーションを実施が実施されるなど、じっくりと時間をかけて成長できる充実したプログラムだった。
大学院では農工研究科に専攻している増田さん。機械学習については、独学で学んでおり、今回のハッカソンに参加して改めて難しさを感じたという。アイデアソンについても、これまでビジネスアイデアを提案したことはなかったという彼だが、今回は見事二部門での総合で最優秀賞を受賞した。それぞれの課題に対し、どのような手法で取り組んだのか。反省点や、工夫した点についてインタビューを行った。
今回のイベントに参加したきっかけは?
大学院では、農工研究科で植物を人工的に育てる実験をしています。趣味でPythonをかじっていたのと、個人的に大好きなアイクスリーム「牧場しぼり」を作っているグリコのハッカソンということで興味を持ち、参加しました。3日間とても楽しかったです。
コンペティション部門はいかがでしたか?
独学で勉強しただけで技術的にはまだまだという自覚があったので、どれくらい闘えるんだろうかと正直不安でした。事前にKaggleで使えそうなセオリーを学習し、これで大丈夫だろうと思っていたのですが、いざスタートしてみたら……いやー、難しかったです。
データ数が少なかったのと、時系列予測は初めてだったので、思ったように進められませんでした。なんとか結果を出せたのは、最初のデータ分析に時間をかけて出題者の意図を見極めることができたから思います。改めて、データをよく見ることの大切さを実感しました。
手法としては、ただシンプルに回帰分析をしていきました。データサイエンスをしたというよりも数学的なことを少しやっただけという感じです。もし自分が経験豊富でニューラルネットワークやLightGBMのような手法を知っていたら、逆にそれにとらわれてしまってうまく結果を出せなかったかもしれません。
初対面の人とチームを組むアライアンス制も、とても楽しかったです。僕はリーダータイプではないけれど、人のサポートは得意なので、秘書役を買って出ました。仲良く意見を出し合って進めましたが、ほかのチームのように議論を戦わせるくらいまでできたら、さらに学びが深かったのではと思います。
ビジネスコンテスト部門の感想もお聞かせください。
ビジネスアイデアを提案するなんて、これまで一度もやったことがなかったので悩みました。ただ、プレゼンテーションは研究室でも日々行っているので、その経験が役に立ったと思います。今回はオンラインでのプレゼンだったので、1枚に情報を集約して、じっくり見てもらえるようなスライドを意識しました。
僕の提案は「お菓子の仕送り便」です。すでにある「定期便」と「プレゼント便」の隙間を狙ったアイデアで、自信はありました。実生活で親から仕送りが届くと嬉しいという気持ちをそのまま活かしたアイデアです。
最初のスライドでサービスの社会的な背景(高齢化、核家族化)を説明したのですが、それが高く評価されたのは意外でした。企業はこういうところもしっかり考えてサービスを考案しているんですね。
イベントに参加されたご感想は?
今回の最大の収穫は、さまざまな手法があること、勉強している仲間がたくさんいること、AI人材を必要としている企業があることを知れたことです。自分の将来を考えるよいきっかけにもなりました。ドクターへ進んで研究者になりたいと思っていましたが、ハッカソンでビジネスで技術を活かすことの面白さを知り、企業への就職も前向きに検討しています。
江崎グリコは、挑戦心のある企業というイメージ。メンターさんからもAIにかける思いや熱量が伝わってきて、今まで以上に興味を持つようになりました。ぶっちゃけた話もたくさん聞けて(笑)、面白かったです。今後も積極的にハッカソンに参加しつつ、自分のスキルと経験を磨き上げていきたいと思います。