第三次AIブームの中で狙う、チャットボットで顧客対応の未来を変えるベンチャー企業
「もともとは特許、知的財産の分野でのサービスを立ち上げたんです。でも、市場の環境を考えたときに、もっと成長の余地が大きなところを探していて、チャットボットに狙いを定めました。知的財産の分野でも、膨大なテキストを人工知能を活用して処理することを考えていたので、当時の経験が今に活きている部分もたくさんありますね」
株式会社コンシェルジュ。東京都中央区日本橋にあるコワーキングスペースの「Clipニホンバシ」にオフィスを構えているスタートアップだ。代表の太田さんが、「いまお茶持ってきますね!」と笑顔で暖かいお茶を出してくれた。
コンシェルジュは、LINEやFacebook Messenger、ウェブブラウザなどをベースにしたチャットボットのサービスを提供している。事前にシナリオを作成することで、プログラミングのスキルがなくても顧客とのやり取りを人工知能が自動対応してくれるため、顧客対応やマーケティング目的で導入を進める企業が増えている。
とはいえ、太田さん自身が言うように、チャットボットは今後成長が見込まれる領域で、競合も多い。コンシェルジュはどこに強みを見出しているのだろうか。
「僕らは、難しいほうへ難しいほうへ、という考え方をしていて、それが独自の強みに繋がっていくと考えています。具体的には、選択肢による単なるQ&Aサービスを作るのではなく、複雑な自然言語処理の技術を活用したサービスに挑戦し、それを開発に落とし込んでいっています」
悩んだら難しいほうを選べ。言うは易しとはまさにこのことで、実践はなかなか難しいように思える。
「僕らは小さな所帯なので、できることは非常に限られていると考えています。だったら、せめてその分野では難しいことを追及して、よりよいサービスの開発を行っていきたいし、そうしないと差別化にならない。できるかどうかはわからないけど、とにかくチャレンジしていかないといけないのがベンチャーですから(笑)」
その挑戦の結果からか、すでに、単なるシナリオに沿った応答ではなく、自然言語の解析をベースにしたサービスもリリースし、クライアントとともに試行錯誤の最中だという。
「コンシェルジュ」に込めた思い
コンシェルジュという社名には、情報を必要とする人に寄り添って、その人が必要な情報を、よりストレスが少ない形で提供することで、より豊かになるサポートをしたい、という想いが込められているそうだ。なぜそのような会社にしたいと思ったのか、どんな動機から起業したいと考えたのか、太田さんに聞いてみた。
「実は僕らは、課題解決型のベンチャーではないんです。もちろん少子高齢化に伴って労働人口の減少が大きな社会課題として存在しており、弊社のテクノロジーが役に立つことは間違いないと考えています。しかし、どちらかというと、テクノロジードリブンと言いますか、技術の進化に伴って、それを使ってもっと社会が豊かになるようなサービスを作ろう、という考えをしてます。人工知能も同じで、ますます人の生活を豊かに、便利にしていくはずです。とはいえ、機械学習、ディープラーニングの進化に伴って一気に人工知能の研究が進んで、第三次AIブームなんて言われていますが、言語処理はまだまだ実用化できていないサービスが多く、今後特に成長余地が大きい領域だと考えています」
今後、自然言語のサービス化の分野は大きく成長し、そこで挑戦を続けるコンシェルジュもすさまじいスピードで成長、変化していくのだろうなと感じさせられる。
Rubyエンジニアとして、人工知能ベンチャーにLet’s Join!
「うちはサービスを一般公開していなくて、限定的なクライアントにだけ提供しています。なので、試行錯誤しながら、機能を増やしたり減らしたりといったことを、ドラスティックに進めていくことができます。もちろん、お客さんにはその都度すいませんって謝らなきゃいけないですけど(笑)」
株式会社コンシェルジュで開発を担当する白倉さんは、笑いながら自社の開発状況について教えてくれた。東京大学大学院卒業後、アクセンチュア、そしてピクスタといった企業を経て、2015年に代表の太田さんと創業に至った。学生時代にはデータマイニングの研究も行なっていた。
現在、コンシェルジュのサービスは「機能の豊富さやUIの使いやすさ」からクライアントに選ばれているという。今後もプロダクト改善としてのエンジニアリングを続けていく一方で、本質的な部分ともいえる「言語解析」についても知見を深めていく必要があるのだそうだ。
白倉さんに、コンシェルジュでの働き方についても聞いてみた。
「特徴として、まずキャリアの柔軟さが挙げられます。今アルバイトしてくれている学生さんがいるのですが、彼は営業としてうちに来てくれています。仕事をするうちにデザインに興味が出てきたみたいで、彼なりにデザインの勉強していることも伝わってくるんですよね。それで今ではデザインも一部任せるようになりました」
役割分担が良い意味で厳密に決まっていないからこそ、自分から新しい仕事を見つけることができる。すごく「スタートアップっぽい」ことではないだろうか。
「働き方も、かなり自由です。アルバイトであれば自由に来て、勝手に帰るといった形でオッケーです。正社員であっても、深夜まで残業したりせず、10時に来て、6時に帰るような働き方をしてもらえたらと思いますね」
コンシェルジュでは、サービスを開発するためのRubyエンジニアが足りていないそうだ。自然言語や機械学習などの人工知能に興味があるエンジニアの方、ぜひ一度コンシェルジュの扉をノックしてみては。