金融領域に変革をもたらす“キャッシュレスデータの活用“をリアルに体感。「三井住友カード株式会社インターンシップ・データ分析コース」参加者インタビュー

2022年9月14日〜16日の三日間、三井住友カード株式会社インターンシップ・データ分析コースが開催された。

このインターンシップは、キャッシュレスデータの分析からビジネス提案までを行うオンライン型プログラムだ。ビッグデータを保有し、かつ消費者や事業者とも深い繋がりを持つ三井住友カード株式会社ならではの内容で、テーマは「実店舗を持つ架空の事業者に対する、新規顧客獲得施策提案」だった。

当日は同社の社員から個別にフィードバックが受けられたほか、後日データ分析部門に関わる現場社員と参加学生との座談会も行われた。

参加者はまず、顧客のキャッシュレスデータから傾向や特徴を探し出し、続いて架空の事業者を取り巻く業界の外部環境を分析。そこから市場の細分化とターゲティング・ポジショニングを行う。最終的にデータ分析とビジネス検討の結果を組み合わせて施策提案をプレゼンテーションするまでを三日間で実施。日本のキャッシュレス社会を牽引する同社の実務に近い価値提供プロセスを体感できるハイレベルな内容となっていた。

本記事では、データ分析コースのインターンシップに参加した学生4名にインタビューを実施。インターンシップに応募した理由や、課題に挑戦した感想、主催企業への印象などを伺った。

インタビュー参加者(イニシャル表記):
Kさん、Oさん、Mさん、Sさん

様々なバックボーンを持つ学生が幅広く参加

大学での研究や学業で取り組まれている内容を教えてください。

Kさん:
私は修士1年生です。BLEビーコン(※1)というセンサーを用いて、人物の位置を追跡・推定するシステムの開発をしております。

Mさん:
今は修士1年生です。野球が好きでずっとやっているので、野球と機械学習を組み合わせて、打撃フォームの自動コーチングシステム構築を目指す研究を行っています。

Oさん:
自分は学部3年生で、最近研究室に所属したばかりです。「ヒューマンコンピュータインターフェース」という、人がコンピューター等を扱う上でのデバイスや、プログラムを研究しています。

Sさん:
(研究室の中の)自分の研究チームでは機械学習に関する内容に取り組んでいます。その中でも特に、ECサイトのレコメンデーションシステムに使われる機械学習の研究をしています。

※1 BLEビーコン:ビーコンとは、電波や音波等を送信する装置の総称。このうち、BLEと呼ばれる低消費電力の近距離無線通信を利用したものがBLEビーコンである。BLEは「Bluetooth Low Energy」の略。
参考:屋内測位のためのBLEビーコン設置に関するガイドライン(国土交通省 国土地理院 測地部、2018)

三井住友カード・データ分析コースインターンシップに参加したきっかけは?

Kさん:
(人物検知の)研究でビーコンから取得したデータを処理する時に、機械学習を用いることがよくあります。そのためデータ分析をとても身近に感じており、参加を志望しました。また、近年データ分析がトレンドになっていて、実際にはどんな感じでビジネスに使われてるのかなというのが気になったのも理由です。

Mさん:
先ほど話した通り、野球と機械学習を組み合わせた研究を行っているので、近い分野で就職したいと思っています。今回のインターンシップはデータ分析がテーマということで、自分の一番興味がある分野かなと思って応募した形です。

Oさん:
参加のきっかけはTwitterです。締切間近のインターンシップを教えてくれる、就活生向けアカウントのツイートで初めて情報を知りました。応募動機は、力試しです。私はまだ学部3年生ですが、機械学習の勉強を進めています。そんな中でデータ分析のインターンシップがあるという情報を見つけたので、自分の力がどのくらい発揮できるのか知りたくて応募しました。

Sさん:
大学に就職活動支援をしてくれる学生団体があり、その団体の先輩から、私の興味関心に合うインターンシップがあると紹介してもらいました。歴史が長く規模の大きな企業にもかかわらずベンチャー的な新規事業や新しい取り組みをされている点に興味を引かれ、詳しいことを知りたいと思って応募しました。

「データを根拠にしたサービス提案」の独自性に惹かれた

数ある情報系インターンシップの中から、このインターンシップを選んだのはなぜですか?

Kさん:
情報系のインターンシップは他にも参加したことがあって、サービス提案をするものもありました。ただ、今回の「データを根拠にしてサービス提案をする」という形式は(他のインターンシップでは)あまりないものだったので、そこが理由として大きかったと思います。

Mさん:
過去にも色々とデータ分析のインターンシップを調べて、応募や参加をしていました。みなさんと同じような内容になってしまうのですが、今回のインターンシップはデータ分析から新規ビジネスの提案まで繋げていく内容で、とても面白そうだと思ったのが決め手でした。

Oさん:
三井住友カードという国内最大規模のカード会社が主催している点で興味を持ちました。また、データを扱うだけではなく、その後のビジネスを提案まで体験できるという点にも惹かれました。

Sさん:
(データ分析結果を)マーケティングに活かす・キャッシュレスの新規事業に活かすといった、実世界への応用を行う内容だったからです。実際のビジネスを意識したインターンシップはあまりないのではないかと思い、興味を持ちました。

インターンシップに参加してみていかがでしたか?

当日のプレゼンテーションスライド(一部)、分析結果から未開拓の顧客層を提示

Kさん:
外部環境の分析やキャッシュレスデータの分析からサービスの提案、検討した施策の費用対効果など色々考える要素があって、本当に時間が足りなかった印象です。
参加前は、データ分析にもう少し時間を取れると予想していましたが、サービス施策の考案やプレゼンの準備時間が多く必要となり、限られた時間でデータ分析の成果を出さなければならない点が非常に難しいと感じました。
結果論ですが、自分たちのチームは本当にうまくいったと思います。チームメンバーの分析力が高く、個々に様々な分析を行い、提案材料がバランスよく集まりました。そのため、サービスの施策提案へスムーズに繋いでいくことができました。

Mさん:
とても面白かった、という感想です。ワーク中は「もう少し時間があれば良い案が出るかもしれない」と感じていましたが、色々とデータを見たり分析したりしていると、アイデアは限りなく出てきます。三日間で内容の濃い体験ができて、ちょうど良かったと感じています。
課題はやはりハイレベルでした。提供頂いたデータ量が想像より多く、全部使うというよりは取捨選択していく必要があったので、その点が非常に難しかったです。
他の班のプレゼンテーションも学びになりました。班によって使うデータも出す結論も全く違っていたので、色々な視点で物事を見るのがとても大事だと実感しました。

Oさん:
三日間でデータ分析からプレゼンでの提案まで一気に行う必要があり、本当に大変でしたが、本物のビジネスを追体験したような楽しい時間だったと思います。
特徴が分かりやすいデータではなかったので、そこに自分たちで意味付けをし、アイデアを作っていく工程が面白かったです。アイデアにデータで説得力を持たせるという体験は、本当に自分の糧になるものだったと感じています。
時間が足りないとも感じましたが、終わってみれば、三日でちょうど良かったのかもしれません。
結果的に自分たちのチームは賞をいただけたので、「頑張って良かったな」と心から思えました。

Sさん:
「データ分析コース」という名称のインターンシップでしたが、実際に取り組んでみると、頭を悩ませたのは、データ分析よりビジネスの部分でした
グループとしても、施策に繋げるためのマーケティング的な考え方や、ビジネスのスキルが必要な部分で悩むことが多く、それが良い意味でショックでしたね。自分が今まで勉強してきたスキルだけでは、ビジネスに直結して活かすことは難しい、という発見がありました。

データを分析するだけでなく、現実世界に活かす面白さが体感できた

今回のインターンシップと普段の研究や学習、開発を比較した際に、どのように感じましたか?

Kさん:
私の研究活動は、どちらかというとデータ分析の手法を考える事が主体です。一方で、今回のインターンシップではデータ分析後のサービス提案が重要視されている感じでした。「データ分析はサービス提案のための手段に過ぎない」という点で、研究とはフォーカスしている場所が全く違うと感じました。
自分はデータ分析について考えすぎてしまい、限られた時間の中で「データ分析の先のこと」に取り組むタイミングが遅れてしまいました。ビジネスを考える上では、全体感を見た上で時間を区切ってやっていく必要があったと思います。プレゼン発表に間に合ったのは、チームメンバーの力を借りられたことが大きかったですね。

Mさん:
データで証拠を出すところが、研究と新規ビジネス提案の違いだと感じました。
研究では、「データにこういう傾向があるからこういう事実があるんじゃないか」という推論だけでも良いシーンがあります。
しかし今回のインターンシップでは、社員の方からフィードバックをいただくにあたっても、自分たちが提案したい施策を裏付ける根拠・証拠をデータから持ってくる必要があり、その点がとても難しかったです。データを通じて納得させることが大事なのだと思いました。

当日のプレゼンテーションスライド(一部)、データ分析結果から施策提案に繋げている

Oさん:
研究とビジネスの大きな違いとして感じたのは、具体的なアウトプットを重視しているところです。
データ分析結果を前提として、ビジネス施策の提案が最終的な評価対象でしたので、アウトプットの大切さを感じることができました。
無機質なデータの分析結果だけではなく、実世界に結びつく結果を求められたこと、それに伴って良いアイデアを思いつけたことなど、個人的には本当に楽しい体験ができました。

Sさん:
研究と仕事が違うというのは、ある程度は理解していたつもりでいたのですが、違いは大きかったです。
例えば、グループでデータ分析して面白い結果が出て、社員の方からフィードバックを受けた際に「それは施策の提案には繋がらないのでは?」という指摘を頂いたんです。研究であれば「結果が面白い」でも進めていける部分があると思っているのですが、ビジネスとなると、あくまで顧客の要望に応えることに向かっていかないといけないのだと、ひしひしと感じました。

メンターの的確なアドバイスが心強かった

メンターさんや社員の方のアドバイスで印象に残ったものはありますか。

Kさん:
足りない部分をはっきり言ってくださったな、という印象でした。
特に、自分を含めほとんどの参加者はビジネスに関する知識があまりない状態だったので、ビジネスの観点とデータ分析の知識、どちらも持ち合わせているメンターの方から的確なアドバイスを頂けたなと感じています。

Mさん:
(現状について)足りないところはここだよ、と的確に伝えてくださる方でした。
方向性を絞ったり、証拠となるデータを探したり、自分たちの班に足りないところをしっかり的確にアドバイスしていただきました。
私たちの班では最後、内容を発表時間におさめるための取捨選択に手こずっていました。その際、ちゃんと伝えなければいけないところと、省いても良いところを的確にアドバイスいただきました。自分たちだけでは、証拠につながるようなところを削ってしまっていたので、非常に参考になりました。

Oさん:
(疑問に対して)明確に答えてくださった点がとても印象的でした。プログラム操作の手助けはもちろんのこと、自分たちはみんなビジネスにおいて素人ですが、「もしそういう提案をしたいならこういうデータがあった方がいいよ」と、プレゼンの説得力が増すような的確なアドバイスを頂きました。施策に対して裏付けを準備するのは初めての体験だったので、色々なことを教えていただけてありがたかったですし、とても心強かったのを覚えています。

Sさん:
単純な分析結果だけだとビジネスにつながらない、という提言をしていただいたことが一番印象に残りました。
また、実際にデータ戦略部でマーケティングをされている社員さんから、施策提案においてのフィードバック中に「あまり枠にとらわれずに柔軟な発想でやってみるといいよ」と、具体のアイデア例も交えながらアドバイスいただいたことも、とても勉強になりました。

自由闊達でチャレンジングな企業

最後に、主催の三井住友カード株式会社にはどんな印象を持ったかお聞かせください。

Kさん:
インターンシップ後の座談会で、参加者からではなく社員の方から話しかけてくれるようなアットホームな感じがして、とても良い印象を受けました。インターシップの中で印象に残っているのは、2日目最後の社員の方からの挨拶です。「もう1回頑張ろう、あと1日頑張ろう」というとても熱い思いを語ってくださって、そのおかげでやる気になれました。そういった部分でも、良い環境だな、自分に合っているなと感じています。

Mさん:
金融系の企業なので、堅いイメージが結構あったのですが、実際は全く違っていました。座談会で本社に行った際、例えば服装も自由だったりと本当に真逆の印象で、自由な社風を感じました。インターンシップ参加後の今は、とても良い環境の会社なのかなと思っています。

Oさん:
本当に良い企業だな、というのを体感できたと思います。ハッカソンの後の座談会で実際に人事部の社員とお話させていただける機会があり、働き方について伺ったのですが、そこでも印象が良かったです。ハッカソンのデータ分析で体感できたような(仕事の)やりがいと生活とのバランスをしっかりとられている企業だと感じました。

Sさん:
「三井住友カード」というと誰もが知る大企業ですが、ベンチャー的というか、新しい取り組みや新規事業に挑戦されている社風があると感じました。直近の取り組み事例として、本年度からコース別採用を始められるということや、最先端のAI技術を使ったCustella(カステラ)(※2)がここ数年の新規事業であることなどを、教えていただきました。キャッシュレス決済が普及していく中で、新事業を打ち出して差別化を図っている、常に大きな変化へ向けたチャレンジし続けているという印象を受けました。

※2 三井住友カード株式会社が保有するクレジットカードの決済データを活用した、データ分析支援サービス。
参考:Custella サービス公式サイト

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