売上高2500億円超、中古車販売の雄、IDOMが挑む新規事業のかたち

自動車買取実績はなんと16年連続のナンバーワン。売上高は2500億円を超え、約4000名の従業員数を抱える、まさに「中古車販売の雄」ともいえる株式会社IDOM(旧:ガリバーインターナショナル)。そんなIDOMで新規事業に携わり、開発部門をリードしている渡部氏にエンジニアと新規事業について講演いただいた。

※2017年11月に開催されたMeetUpのご登壇時のものです。

リードエンジニアの渡部慎也氏:2012年に株式会社ディー・エヌ・エー入社。リードエンジニアを経て、2014年から技術コンサルタントとして、その後プロデューサーとしてゲームを開発。2017年2月に株式会社IDOMへ入社。NOREL事業部CTOとして活躍している。

新規事業の取り組みについて

株式会社IDOMは元々、株式会社ガリバーインターナショナルという会社から、2016年7月に社名を変更しました。この社名は、日本語の「挑む」という意味から来ています。

結構大きな会社ではあるのですが、まだまだベンチャー精神を忘れていない挑戦することが大好きな会社ですね。今までは中古車の買取と販売をしていて基本的には営業の会社ですが、今後はWebサービスも強化していこうとまさに今、挑んでいるところです。

IDOMでは、現在複数の新規事業を立ち上げて推進をしています。例えば、ガリバーフリマという名前のサービス。これは中古車のCtoCサービス(自動車の個人間売買)です。CtoCビジネスの消費税の利点を活かして自動車を購入したいお客様にとってはお得に自動車が購入でき、売りたいユーザーさんにとっては、自分で自動車に値段をつけることができます。 また、間にIDOMがサポートに入ることで安心して取引ができるサービスになっています。僕が担当しているサービスのNORELは、月額定額制の最短90日で自動車に乗り換えることができるというサービスです。 シーンに応じていくらでも好きな自動車に乗り換えることができ、プランも1万9800円から30万円と様々。保険や保証も込みの価格でやっていまして、お得に乗れれば良いよねという方、色々な車を乗ることにステータスを感じられる方に利用いただいています。

新規事業と既存事業のコラボレーション

どのような体制でサービス開発や運用をしているか

IDOMのWebサービスはいくつかありますが、開発体制はそれぞれで異なっています。例えば、NORELですと、一つの会議室にエンジニアも事業部側の人間も集まってみんなで開発しています。 他のチームだと事業部とエンジニアで別の部署だったり、席が遠かったりするので定期的に朝会を開いてコミュニケーションを取ったり、チームによってそれぞれの個性がありますね。各チームのやり方でいいところもあれば、いくつか問題点が出てきたりもします。そのため部署を超えて定例会や社内勉強会をして解決していて、動物園のようにみんなで自由にワイワイした雰囲気の中やっています。

会社の中での新規事業の位置づけは?

中古車買取販売のベースがありまして、社員だと営業の方々が3000人に対してエンジニアが10人という、 いびつな比率になっています。しかし、中古車の売買が今後シュリンクしていくだろうという中で、 プラスアルファの売り上げを出していくという位置付けでいます。 いますが…みたいな、課題はまだまだありますが(笑)。 新規事業によって既存事業が伸びてきていたりもするので、 そういったコラボレーションは面白いところですね。

例えば、ガリバーフリマというサービスを使ったお客様が、 結果としてガリバーの店舗に送客されるという。こういったWebサービスと店舗の連携は、 全国に500店舗あるからこそで、他社ではなかなか実現できない面白みです。

既存事業が強い中で、エンジニアとしてどう動くべきか?

中古車買取販売がIDOMのベースにあるため、社員だと営業マンが約4000人に対してサービスに携わっているエンジニアが10人という、歪な比率になっています。 しかし、中古車の売買だけでなく、今後会社として新たな事業を広げていこうとしているタイミングで、既存の中古車売買事業にプラスアルファで自動車の賃借という顧客の新しいニーズに応えて自動車を提供することで顧客との接点を増やし、売り上げにつなげていこうという位置付けでいます。 今はもちろん課題はまだまだあります。新規事業によって既存事業が伸びてきていたりもするんですよね。例えば、今までだったらガリバーの店舗に来て中古車の販売しか行えなかったのが、話を聞いてNORELの方がお客様に合っていると思えば、NORELを勧めることだってできる。営業スタッフにとっては提供できるサービスが増えることになります。 また、ガリバーフリマを使っていたお客様が、結果としてガリバーの店舗に送客されることもある。こういったWebサービスと店舗の連携は、全国に約550店舗あるからこそできることで、他社ではなかなか実現できないことだと思います。そういったコラボレーションは面白いところですね。

新規事業を推進するにあたって、どんな壁がありましたか?

NORELが2016年の8月から始まった事業で、僕がIDOMに参画したのが2017年の2月でした。当初は1つのシンプルなプランだけでサービスを提供しており、開発は外注するような体制で行っていました。 開発面でも事業面でも見据え方が甘かった部分があったようで、サービス自体が自社フレームワークを使ったシンプルな構造になっていまして(笑)。そこを変えていくことが最初の僕のミッションでした。プランの出し方を変えたり、自動車を精査したりと、最初の2ヵ月くらいは元々提供しているサービスの状態が大きな壁となっていて、力業でゴリゴリっと突破していきました。2つ目、3つ目の壁は、今まで僕が自動車関連の事業をやってこなかったこともあり、そもそも自動車の知識が足りなかった部分もあったので、それは1つ1つ潰していきましたね。

パーソナル面とスキル面からのご自身の武器を教えてください。

エンジニアなので、武器と呼べるものは結構あるのかなと思っています。インフラ、Web、アプリと幅広く扱うことができます。ただ、どれも知識が深いわけではないので、色々な人の力を借りて進めようとするのは自身のスキルの特徴だと思います。1人で全部やるのではなく、得意な人の力を借りて開発のスピードをあげるというのが大切なことだと思っています。あとは、気分転換の1つとしてゲームをするので、ストレスを溜めずに仕事に打ち込めるように時間を配分してやっています。 パーソナル面ですと、僕がお酒好きなのと営業マンの多い会社なので結構、社員同士で飲みに行ったりします(笑)。会社が目指す方向や事業についてお互いの考えについて腹を割って話しながら、エンジニアとしてゴリゴリっとやっていくことが僕の強みかなと思います。

エンジニアにも肌で感じてもらう

新規事業を作るエンジニアになる場合、プログラマーとしても一流であるべきと考えますか?

一流の定義が難しいですが、新規事業を作る時に必要な部分としては、事業をどうやって成長させるのかを一緒に考えていけるかが重要になってくると思います。 特に新規事業だとエンジニアだけじゃなくて、事業を押し進める人間だって少ないケースが多く、開発だけをしていればいいという状態ではないはず。そのため事業を立ち上げるために、事業部と一緒になって売れるものを考えたりすることが必要なのかなと思いますね。もちろんプログラマーとして一流であることも大切だと思いますが、新規事業の場合はそれだけでは十分ではないのではと思います。

エンジニアがビジネス的な視点を身に付けるための取り組みは?

NORELのチームですと、チーム全員で毎週一回、定例会を行っていて赤裸々に数字を出します。そうすることで、ユーザーにはどういった施策がどう刺さったのか、刺さっていないのか見えてくるんです。どれだけ自分たちがユーザーの行動を分析して、いい機能を作ったと思っていても使われていなければ意味がない。作ったものがユーザーにどれだけ貢献しているのかを、エンジニアに肌で感じてもらうこともやり始めています。

新規事業のエンジニアになって良かったこと、人生がどう変わったか

元々ゲームを作りたくてプログラミングをやっていたのですが、ゲームやWebサービスで世界を変えることって難しいなと思っていたんですね。実際に使っているユーザーが見えないので、自分の関与がなかなか可視化できない。そんな壁にぶつかっていた時にNORELに関わることになりました。 自動車というわかりやすいプロダクトがあって、約550店舗を活用することができる中で、自分が作っているものが目に見えて人に提供しているところを実感できていることが良かったなと思います。あとは事業に関わってから、街中の自動車に目がいくようになりました。自動車のビジネスをやっていると色々見えてくるものがありまして、自動車の値段が透けて見えたり、この自動車ならこれだけ値段が下がりそうだなと考えたり、今までだったら気にしたことなかったことにも目を向け始めましたね。

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