卒業のない“未来の学校”がコンセプトの「Schoo(スクー)」。参加型生放送を通じた講師と受講者両者で創りあげる新感覚の学習体験
仕事で必要なスキルだったり、趣味で始めてみたいことだったり、社会人になっても何かを学びたいと思う気持ちは誰にでもあるだろう。だが、時間がない、場所が遠い、お金がかかるなど様々な理由で1歩が踏み出せていなかったり、またオンライン学習を始めてみたものの長く続かなかったり、そういう方も多いのではないだろうか。
2011年10月に創業、「学べる生放送コミュニケーションサービス」を提供する株式会社Schoo。社名は英語のSchoolから「L」を取り除いたもの。由来は、学びに終わりがない世界の実現を叶える願い「世の中から卒業をなくす」という同社のミッションが込められている。
同社のサービスは生放送であることにこだわりを持っている。それはいわゆる従来型の先生が受講者に語りかけるというスタイルのeラーニングとは大きく一線を画す物であり、講師と受講者の双方向で創りあげる学習コンテンツであるところに理由がある。
深い学習を実現しているUI/UX
Schooでは「深い学び」をどう追求していくか、そこに全力を注いでいる。生放送にこだわる理由もこの点にある。ユーザーは生放送開始時間に授業ページに訪れると、オンタイムでの視聴は無料で参加、閲覧が可能となる。授業画面には参加者全員が参加できるチャット機能があり、「着席ボタン」という、授業にユーザーが参加したことを、講師や他の参加者に周知する機能も伝わっており、「着席しました!」というメッセージは前述静的なeラーニングサービスとは一線を画す、動的サービスのある意味象徴的フレーズとして用いられることが多い。このチャット機能はユーザーと講師、ユーザー同士でもリアルタイムで会話が可能だ。リアルタイムに双方向での会話ができることで「参加している」という実感を得られ、他にも学習しているユーザーがいると認識できることで学習意欲や継続率の向上にもつながる。
また、FacebookやTwitterとサービスを連携していれば、着席の情報がSNSにも投稿される。「着席」というユニークなフレーズは、特にFacebookを通じてSchooに新規のユーザーを呼び込むきっかけの一つになったという
この着席機能やライブチャット機能は、同社エンジニアの「あったら良くない?」という提案からできたものである。もともとは同社のスタッフ同士やスタッフの知り合い同士で、授業を受けながらSNSなどでメッセージを送り合っていたという。それをオフィシャルなものとしてメッセージを送り合える機能が追加された。
2017年9月、授業ページの新機能3つが追加された。「トゥインクル・オブ・ザ・スター」は、ユーザーから投稿された注目のコメントを生放送画面の周囲に表示される機能だ。コメントしたことが授業内で取り上げられることで、授業する側と参加者側が共に学びの場を作りあげていることが実感できる。また、新着コメントの表示時、アニメーションで順次テキストを表示し、今そこで人が話している雰囲気を演出する「コメントトゥルトゥル」や一つの投稿フォームで「学んだ」、「質問」、「コメント」の投稿種別を自然に使い分けできる「トリコロールフォーム」が追加された。
これら新機能の開発担当者はプレスリリースで、「生放送授業とタイムライン投稿、そこに生じるコミュニケーションをどのように共存・融合させるかを考え、他に例をみない我々独自のUIを開発に至った。ただ生放送を観るだけではなく、ここにしかない受講体験を通して参加しているユーザーの皆様で学びを生み出す感覚を楽しんでもらえれば」とのコメントを発表している。
授業数4,000以上を誇る、生放送の動画学習コンテンツ
今までSchooで登壇した講師数は2,200名以上、コンテンツ数は4,000授業以上を誇る。企画立案については、①不変的に人気があるテーマ、②Schoo発信の企画テーマ、③今、流行りのテーマ―3つのテーマから考え、コンテンツのタイトル、授業内容、登壇講師などを決めている。
強制力だけで成り立っていた旧来のeラーニング
同社の設立は、創業者かつ代表取締役社長の森 健志郎氏が、前職時代に受講したeラーニングに対する強烈な課題を感じたことに始まる。それはテーマ自体には興味があるのに、流れる動画が、プレゼン資料を講師が淡々と説明していくという退屈なものだったからだ。スライド中心の動画、代わり映えのない画、仕組みとして強制力で受講させる旧来のeラーニングに終止符を打ち、「もっとおもしろいものを作りたい」、その思いから社会人向けの卒業がない、学ぶことに終わりがない学校「Schoo」を創り上げた。森氏は「また受講したいと思える学習体験」や「学習時間における時間対効果」の探求を続けている。
他のeラーニングサービスのような“静的な情報取得”ではなく、リアルタイムでのオンライン放送だからこその「動的な双方向のやりとり」を活用した、Schoo上でしかできない独自体験としての学びを創り出したいという想いがその根底にある。
Schooでは学習することが目的ではない。学習したことを活用して、受講者それぞれが持つ課題解決の手段を身に付けることが目的になる。そのため、受講者は必然的に社会人が多く、20代から30代が多数を占めている。授業はすぐに使えるビジネススキルから、ITスキル・経済・ニュース・思考法・文章術・仮想通貨・健康管理・フリーランス向けのものまで幅広いジャンルが並ぶ。忙しい社会人が学習意欲を高く保ち、継続した学習を維持できるよう同社の挑戦は続く。