Digital Laborが活躍するデジタル社会、世界で普及がはじまるRPAの効果最大化へのチャレンジ

さまざまなビジネスシーンでの省力化を目指しAI、機械学習といった技術を用いて業務の代行を実現するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が世界中で普及し始めている。アメリカの調査会社トラクティカ(Tractica)が2017年7月に発表した調査によるとRPAの世界市場の成長は2016年の1.5米億ドルから、2025年には51米億ドルへ加速的に拡大すると予測されている。

RPAの導入により、企業内にDigital Labor(仮想知的労働者)という労働力が生まれ、これまで人が実施していた事務処理などの単純作業化できうる業務は、ロボットによる代行が進んでいくことになるだろう。

ソフトウェアの品質保証・テストを手掛ける株式会社SHIFTと、RPAのベーステクノロジーを提供するRPAテクノロジーズ株式会社は、人の単純作業を代行するDigital Laborの実現とその普及・促進に向けて2018年1月に業務提携を行い、両社共同で開発を進めていた。

期待とは裏腹に、RPA活用には乗り越えなければならない壁がある

働き方改革、生産性向上をテーマにRPAの導入に取り組む企業は増加傾向にある。それは、「人」が介する作業より人的ミスのないロボットに多くの期待が込められているという背景によるものだが、まだ普及に向けて動き始めたばかりのRPAには課題も多い。

RPAは、その有効な導入・活用方法が確立しておらず、導入しても「現在の業務に思うように適用できない」、「エラーが多く、リカバリオペレーションで、人手がかかってしまう」、「ロボットを現場に配布しても使われない」など、Digital Laborとの分業および、Digital Laborの品質が原因で社内普及が上手く進まないケースが多い。

このような課題を解決し、各顧客における導入効果を最大化すること、より加速的なRPAの普及に貢献するため、SHIFTとRPAテクノロジーズが共同開発したRPAロボット診断・改修サービス「ROBOPIT!」を5月14日から提供開始した。

SHIFT代表取締役社長の丹下 大氏

SHIFTの丹下 大代表取締役社長は、「今回の業務提携の狙いは、品質保証、標準化、業務改善といったSHIFTが培ってきた強みも持って、『止まらないロボット』を提要すること。また、導入先企業ではRPAを開発できるエンジニアが不足しているという課題もあり、非IT人材でも活躍できるような人材育成などにも注力していく」と述べた。

RPAテクノロジーズの大角暢之代表取締役社長は、「『社会的にDigital Laborをいかにスケール・高度化させるか』を当社のミッションとしている。そのためには、技術基盤・内製力・人材育成を強化していく必要があるが、特にDigital Laborの企画・実装・修正・運用といった内製力は重要だ。内製力をつけて、スケール&高度化を実現し、イノベーションを加速させていくことが今回の協業の狙いだ」と話した。

RPAテクノロジーズ代表取締役社長の大角暢之氏

RPA導入で生産性向上、働き方改善が加速する

RPA活用に課題を持つ各導入企業に対して、「ROBOPIT!」を活用し、投資対効果の視点を重視したRPA導入による業務効率化を進めていく。「初期投資」と「継続投資」の2つの観点から顧客ヒアリングや関連ドキュメントの調査にて検証する。初期投資として、RPA導入に向けた業務開発プロセスの妥当性、継続投資の観点よりRPAツールのパフォーマンスの過不足、導入によるリスク検証、保守運用にかかる負荷を評価し、改善の方向性を提示する。

ROBOPIT!のキャラクター【SHIFT、RPAテクノロジーズ提供画像】

SHIFTの菅原要介執行役員兼ビジネストランスフォーメーション事業本部本部長は、「『ROBOPIT!』ではRPA導入企業が抱える、ロボットが止まる、メンテナンス時に手離れが悪い、処理速度が遅い、誤作動や不具合への不安などといった10項目の課題に対応し、ロボット診断を提供する。診断では開発プロセス、パフォーマンス、事故リスク、業務運用リスク、保守メンテナンスリスクの5大リスクに対して診断レポートを作り、ROI(投資対効果)の総合判定で評価する。その結果に応じて改修・メンテナンスを行い、導入効果を最大化できるよう支援していく」と説明した。

RPAが導入されることにより削減されたマンパワーを企業の生産性と価値向上につなげ、より創造性を必要とする業務への移行とそれによる市場の拡大、また企業の働き方改善の推進にもつながるとSHIFTとRPAテクノロジーズの両社は期待している。

SHIFT執行役員兼ビジネストランスフォーメーション事業本部本部長の菅原要介氏

品質保証とトラブルシュートに強みを持つ2社

SHIFTは、業務プロセスを細分化・可視化して「判断が必要なプロセス」、「作業化されたプロセス」、「自動化できるプロセス」の3つに切り分け、品質を担保しながら大幅なリードタイム短縮を実現するノウハウをコア・コンピタンスとしてソフトウェアの品質保証に適用し、事業を行っている。さらに、金融・流通業を中心としたさまざまな領域において、例外系・異常処理等を含む網羅的な業務パターンの展開手法を確立。このノウハウを活用してRPAの最適化を目指している。

RPAテクノロジーズは、2013年の設立以前より約10年に渡り、人の作業を転換するロボットビジネスを展開している。これまでに金融、流通・小売、情報通信など幅広い業界へ2万体以上のソフトウェアロボットの導入事例を持つRPAのリーディングカンパニーだ。

2018年1月に行われた業務提携では、SHIFTが業務プロセス改革による分業化・スキル可視化などのコンサルティング技術・ノウハウおよび、RPAの業務への適用に向けた品質保証ノウハウを提供。RPAテクノロジーズは10年間で培ったトラブルシュートに関する知見、および対象業務やクリティカリティに応じた開発方法論、ツールの選定ノウハウの提供などが行われた。

「ロボットやAIが人の仕事を奪う」、といった論調が騒がれていたりするが、有効労働人口の減少し、2060年には国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者(※)になると言われる日本において、マンパワーを有効かつ最大限に活用することは求められていること。働き手不足という課題に対する打開策としてIT化は必要不可欠なのは間違いないだろう。

※国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

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