【驚異の継続率90%】子ども向けオンライン英会話を展開するEdTechが明かす、「ユーザーに愛される」サービスの作り方
いま、英会話は日本の課題である。
訪日観光客の増加や、2020年の東京オリンピックなど、日常で英語を使う機会はますます増えていくと予想される。英会話レッスンに通っているという人も多いのではないだろうか。
英語を学ぶ必要に駆られているのは、大人だけではない。文部科学省は、2020年度から現在小学5年生から始められている英語教育を、小学3年生から前倒しにすることを決定した。
しかし、「一念発起して英語を勉強し始めたが、途中で挫折してしまった」という人も多いのではないだろうか?
「オンライン英会話講座の継続率は、3ヵ月で50%、半年にもなると20%まで落ちてしまいます」と話すのは、ハグカムCEOの道村弥生氏。
ハグカムが提供する子供向けオンライン英会話レッスンは、なんと通常の4倍、半年で約90%と驚異の継続率を誇る。大人でも続けるのが難しい英会話を子供が長期間続けられる秘訣は何なのか。
驚異の継続率!一般的なオンライン英会話講座の4倍の継続率の秘訣とは?
ハグカムが提供する子供向けオンライン英会話レッスン・GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)は、3ヵ月で96~100%、半年でも85~90%という驚異の継続率を誇る。CEOの道村弥生氏と、自身の娘もGLOBAL CROWNを利用しているというエンジニアの松山先斗氏への取材から、オンラインでの子供の英会話学習を楽しく長続きさせるための、3つのこだわりが見えてきた。
子供のため、保護者のためのUI・自社開発するアプリのこだわり。ーSkypeを使わない理由。
生徒5人と先生5人のモニターテストから全てが始まった。道村氏が前職のサイバーエージェント時代から貫いてきたモットー『ユーザーファースト』を達成するべく、少人数のモニターと保護者へのヒアリングを重ねた。多くのオンライン英会話レッスンが、Skypeなどの他社の動画サービスを利用するのに対して、ハグカムは自社でアプリを開発しているのも、そうしたモニタリングの賜物だ。
「お客さんを見て、ユーザーを見て、サービスを変えていくことは全社で徹底しています。ヒアリングしたお母さんたちは、Skypeを使った事がない人がほとんど。Skypeの話をした時も、『Skypeって何?』と度々言われました。『家でパソコン開かないです』っていう人も多くて。そういうお母さんたちを対象にサービスを作るんだったら、一番使いやすいものを、と考えて、自社でアプリを開発する事にしました。わざわざパソコンを開く必要がないように、レッスンに必要なテキストや、先生からのメッセージ一覧などを一括でアプリに載せられるようにしました」(道村氏)
自身も二児の父であるエンジニアの松山氏は、自社でアプリを開発するメリット・子供特有のUIについて次のように語った。
「自前でアプリを開発すると良いのが、後からユーザーに必要な機能を追加できることです。例えば最近新たに追加したのが、会った先生の人数に応じて水槽に海の生き物たちが増えていくようなアチーブメントの機能を取り入れました。子供向けなので、スタイリッシュなものよりも、好奇心をくすぐるような機能を意識しています。あとは、あえてユーザーからインタラクティブなことが出来ないように作っています。うちの子もそうなんですけど、子供って結構バンバンタブレットを叩くんです。でも、そうやっても何も起きないようにしています。大人向けだったらそういうことは想定しないですよね(笑)」(松山氏)
ユーザーにとことん向き合ったアプリの開発は、週1の全員参加の開発ミーティングを通して、エンジニア中心に全社で取り組んでいる。
「エンジニアは僕とあともう1人居ます。開発ミーティングで社内全員で中長期的なスケジュールを決めます。そこで決まったロードマップに従って2人でガシガシ開発しつつ、GitHubでレビューし合ったりしています。そこから社内全員でチェックしていきます」(松山氏)
「直近でリリースしたのは、成長マップという生徒のレベルが可視化できる機能です。もともと生徒のレベルは、運営の方で手動でExcelに入れていたのですが、長く続けている親御さんからの要望もあって、見えるようにしたいという話になりました。開発ミーティングを重ねて、今年の1月にリリースできました。開発チームも運営チームも、ユーザーに向き合う姿勢はみんな一緒で、『これはユーザーにとって良いことか?』という問いかけはミーティングで何度も出てきます」(道村氏)
子供と講師のマッチングのこだわり。生徒一人ひとりに合わせたマッチング。
ハグカムは講師、生徒それぞれのマッチングをあえて完全に自動化せず、子供1人1人に合ったマッチングを心掛けている。
「単にランダムでマッチングすれば良いという訳ではないと思います。合わない先生ももちろんいるので、そういうフィードバックがあった先生は、システムで制御してその子の管理画面に出てこないようにしたりしています。ただ、逆に仲良くなれば良いという訳でもないんです。モニターで分かったのは、子供は慣れすぎると英語ではなく日本語で話そうとしてしまうことです。そこで、なるべく多くの先生と出会えるようにもしています」(道村氏)
「生徒1人、1人見ている」という道村氏の発言に嘘はない。ある先生以外だと泣いてしまうほど人見知りの生徒が、他の先生とも話せるようになったことはハグカム中のビッグニュースになったそうだ。濃い関係を築いているのは子供と先生だけでない。ハグカムと保護者も厚い信頼で結ばれているのを感じる。
「親御さんからの相談窓口を設けて、どうしても生徒さんがレッスンに集中できない等何か問題があればメールや電話で対応できるようにしています。オンライン講座ですが、授業のクオリティや対応の満足度はオフラインの教室のように高く保ちたいと思っています」(道村氏)
ユーザーだけでなく、先生やオペレーションチームが業務に集中して取り組めるように陰で支えるのは、やはりエンジニアだ。
「ユーザー向けのアプリだけ作っている訳ではなくて、先生の管理画面やマッチング画面、会計処理画面なども作っています。先生の給与を自動集計し、Slackで通知して会計担当に伝えたり―。細かいことかもしれませんが、スムーズに業務が進むようにエンジニア側からできることを工夫しています」(松山氏)
ただの英語教育ではない、好奇心育成へのこだわりー英語の次はプログラミングにロボット教室?!
取材中に強く感じたのはハグカムが目指すのは、ただの英語教育ではないということだ。そもそも道村氏がハグカムを設立した背景には、“能力は高いにも拘わらず挑戦したがらない若者”と出会った経験にあるという。
「前職を通して色んな学生やメンバーを見ていく中で、”すごい優秀なのに目標がない・失敗を恐れている若い人”がたくさんいて、すごく勿体無いと思っていました。でも彼らの幼少期や昔の話を聞いていると、幼少期にあまり挑戦する機会がなかったことが共通しているように感じました。そこで、『幼少期にチャレンジする機会』という原体験が大人になってからも影響するんだと思うようになり、子供に好奇心育成・挑戦の経験を与えられるサービスを作ろうと決意しました」(道村氏)
これから、英語以外のジャンルを提供していく可能性もあると道村氏は話す。
「やりたいのは、子供のできた!っていういろんな発見と学びを提供することなので、それ以外のジャンルも提供していきたいと思っています。保護者の方にアンケートを取ると、プログラミングのコースやロボット教室をやってほしいと言う声も多いです。教室もあるにはありますが、都内に限られていたり、抽選があってそもそも入れない狭き門だったりするんです。あとは、ダンスもレッスンでできたらいいなと思っています。公園に一人で遊びに行かせるのは危ないということで家の中で遊びがちで、リズムとったりするのが出来ない子も最近いるそうです。需要はあるので、英語以外のサービスも増やしていきたいです」(道村氏)
英語、ダンス、プログラミング…。子供向けオンライン講座を提供するハグカムの可能性は今後も大きく広がりそうだ。ハグカムはユーザーのために一緒にサービスを作っていくエンジニアを募集中である。
「次は、アプリのAndroid対応を目指しています。Web・モバイルアプリケーションのノウハウがある人に来てもらいたいですね。バックエンドのエンジニアで、フロントもできるとなお良いなと思います」(松山氏)
可能性が無限に広がる子供向けの新しい教育サービス。
エンジニアは子供、親、先生、社内向けのすべてを開発しているので、多種多様なチャレンジの機会が開かれている。
また、取材中感じたのは職場の雰囲気の良さ。CEOとエンジニアを始めとする社員の距離が近く、風通しの良い職場である事は間違いない。
自発的に事業内容に関わっていきたい、積極的に提案してきたいというやる気を持ったエンジニアにおすすめである!