FinTechエンジニアが語る、サービス拡大のために今やるべきこと

株式会社クレジットエンジンが展開しているのは、LENDYというオンラインレンディングサービス。融資(レンディング)における申し込みや審査などを、オンライン上で行なうことができるものである。大きく伸びているFinTech市場において、業界エンジニアが注力していくべきものとは何か。同社取締役の向山裕介氏とリードエンジニア兼データサイエンティストの坂本伊佐雄氏に伺った。

機械学習でサービス拡大を図る

坂本(敬称略):今、1番注力していきたいのは、データ分析における機械学習を行なうことです。主に、借入額や借入条件、審査の部分に機械学習を導入することで、審査判断の強化に繋げていきたいですね。用途としてはその他にもあると思っていて、例えばアプリのユーザーを検出したり、Web行動履歴を取ったりすることで、我々しか得られない、深みのあるデータ分析ができると考えています。

向山(敬称略):そして、データ分析の精度を向上させるためにも、提携数を増やしていきたいですね。現状では、30弱ほどの外部のサービスと連携していて、ユーザーも増えてきています。今後は基盤となる部分を強化することで提携数を増やし、サービスの拡大を図っていきたいと考えています。サービスとして成り立ってはいますが、裏側の改善余地はまだ多くありますね。LENDYのサービスを受けられるようにそれぞれの提携先に対してAPIを立てて、定期的に更新する必要があるので、注力していきたいです。

また、今後はアプリのリリースも考えていて、まずはWebと同じ機能を持ったものを出していく予定です。その後、決算書のアップロードがスマートフォンのカメラからすぐにできたり、質の高いコミュニケーションをとれるようなものを目指していきたいですね。まずはiOSから、ネイティブで準備を進めていこうと考えています。

今後のサービス拡張を見据えた基盤作りを行ないたいと語る、向山氏

なぜFinTech業界へ?異色な経歴を持つエンジニア

向山:私は、公認会計士として働いていました。退職後、フリーランスをしたりスタートアップに勤めたりしていて、決済の事業やブロックチェーンを使ったサービス提供など、当時からFinTechとそう遠くない領域の仕事をしていました。そんな中、自身で創業しようと考えるようになりイベントに参加したところ、現代表の内山と出会いました。その後、お互いのビジョンを知り、一緒にやっていこうということで、クレジットエンジンを共に創業し、CTOとして開発の担当をしています。

ーー公認会計士からエンジニアへの転職は大きな決断ですね。

向山:私としては、そこまで大きな決断ではありませんでした。何か新しいものを作ろうと考えたときに、会計士の立場だとできないと思ったんです。自分で手を動かして作り出すことができる、エンジニア側に行くべきだなと考えました。

ーー続いて、坂本さんのキャリアについて教えてください。

坂本:私は、10年ほどキヤノン株式会社で開発部門を担当しておりました。製品としてはPIXUSに関わることが多く、ハードウェアとソフトウェアの両方を手がけていました。

ーーキヤノンとクレジットエンジンだと領域が全く異なると思いますが、いつ頃からFinTech業界に興味を抱いていたのですか?

坂本:たまたま申し込んだイベントをきっかけに興味を持つことになりました。内山と向山が出会ったイベントに私も参加していたんですよね。FinTech領域はビジネスとして進めていければ、やりがいを感じられると思ったんです。あとは、彼らのキャラクターに惹かれたことは大きいです。この2人と一緒に事業をやっていったら面白いんじゃないかと考え、こちらに転職を決めました。

スタートアップイベントでの偶然の出会いは、今でも覚えていると語る坂本氏

ゼロからの開発で感じたやりがい

ーーチーム体制について、どのようになっていますか?

向山:我々含めてエンジニアは4人です。これまでは私と坂本の2人体制でやっていましたが、10月に1人、11月に1人と少しずつ増えている状況です。私はフロントを設計しており、坂本はインフラに関わることが多いですが、基本的には特に担当というものは決まっていないですね。自分の得意な立ち位置で作業できる環境だと思います。今後、データ分析へ力を入れていきたいので、坂本はそちらに足を踏み出していき、私はプロダクトマネージャーとしてやっていきたいと考えている段階です。

ーー今のステージだからこそのやりがいは

坂本:大手のほうが専門的な作業ができる、という部分は確かにあるので、キヤノンも楽しかったのですが(笑)。やはり、小さな会社だからこそ自分たちで作っていることを実感できることは、やりがいだと思いますね。社員間の距離も近く、またユーザーの声がダイレクトに届く環境になっています。

向山:我々のサービスは新しく、ベンチマークのないものなので、何もない状態から作り上げることができます。FinTech業界自体がまだまだ盛り上がっていく段階なので、自分たちで考えながらサービスを作っていくという部分では、やりがいを感じられますね。

CEOやエンジニアが一体となって作り上げてきたクレジットエンジン。今後、サーバサイドエンジニアやデータサイエンティスト、さらにはUXデザイナーなどの人材が必要となる。同社の特長として、今までにないサービスを提供する中で、ゼロから作り上げる環境があることだと向山氏は話す。これから何かに挑戦したいというエンジニアにとっては、やりがいを感じられる会社ではないだろうか。

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