グリコと学ぶ食+AI。食品業界に新しい風を起こす3Daysハッカソン+ビジネスコンテスト 最優秀賞 岩田真奈さん 東京工業大学工学院経営工学系
2019年11月中旬、大阪にある江崎グリコ株式会社にて「グリコと学ぶ食+AI 食品業界に新しい風を起こす3Daysハッカソン+ビジネスコンテスト」が行われた。今回のイベントは、データ分析を行うハッカソンと、AIに関連したアイデアを発表するビジネスコンテストを組み合わせたもの。ハッカソンでは江崎グリコ株式会社から提供された特定商品の売り上げデータを用いた需要予測、ビジネスコンテストではAIを利用した新企画アイデアのプレゼンテーションを行なった。初日のインプットから2週間の準備期間を設け、2日目には江崎グリコの記念館見学、3日目に最終アウトプットを行う充実した内容の開催となった。
ビジネスとコーディング両方の知識が求められ、またそれぞれで個別に評価される形式だった本イベント。その中で優勝を果たしたのが東京工業大学工学院の岩田 真奈さんだ。岩田さんは、ハッカソンで需要予測の課題となった2商品のうち1商品で1位を獲得し、口頭発表は詳細なEDAをもとにモデルの選択理由をわかりやすく説明。ビジネスコンテストでは「ユーザーがアンケートに答えると好みのお菓子がわかり、SNSなどで周囲と共有できる」というアイデアを提案、初期のデータ収集方法やユーザー・企業双方のメリットなど詳細に考慮された納得感のある発表で高い評価を受けた。
ビジネスコンテストでは、大学で学んだ知識を生かし、実力を発揮することができたという岩田さん。ハッカソンは運が良かっただけ、と答える彼女だが、今回は見事、最優秀賞を受賞した。将来は自分自身をデータ分析したいというユニークな夢を持つ岩田さんは、今回どの様な手法で課題に取り組んだのか。工夫点や、反省点、今後の展望などについてインタビューを行なった。
今回は1日目にビジネスコンテスト、2週間後にグリコの会社説明会(2日目)、ハッカソン(3日目)がありました。ビジネスコンテストとハッカソンともに上位だったそうですね。
ハッカソンに関しては運が良かっただけかもしれません。ビジネスコンテストに関しては、普段やっていることの成果だと思います。ビジネスよりのデータサイエンティストになりたくて、学部ではマーケティングサイエンスを専攻し、院では自然言語を研究しています。普段から授業でプレゼンする機会が多く経験を積んでいるのが役に立ちました。
プレゼンを苦手にしている人もいると思うので、アドバイスをいただけますか?
1スライド1フレーズにすることと、いま目次のどこにいるのかをきちんと説明すること、あとは人に見せることでしょうか。今回もラフを事前に見てもらいました。
グリコにはどんな印象を持ちましたか?
まず、「グリコって大阪にあるんだ!」と。「これからAIやビッグデータに積極的に取り組みたい」というお話をされていて、非常に熱意を感じました。
ビジネスコンテストのテーマも「AI事業部が発足してプロジェクトメンバーになったら、どんな提案をしますか?」というものでしたね。1日目には、どんなアイデアが出ましたか?
飢餓の問題を考えた人や工場の異常検知を考えた人もいました。お菓子×AIというテーマで考えたことがなかったので、なかなか難しかったです。
岩田さんの最終アイデアは?
私は「その人の味の好みを分析する」ことを提案しました。質問に答えていくと好みのお菓子を教えてくれるという仕組みです。「インパクトも大事だけど実現可能性も重要」と言われたので、どう両立させるか悩みましたが、「提案できる機会なんて滅多にないから、自分が欲しいものを提案しちゃおう」と割り切りました。
3日目のハッカソンはどうでしたか?
練習用データを事前に7個もらえたので、それをもとにモデルを4個組んでおきました。当日は与えられたデータが2個だったので、どのモデルが使えそうか検討しました。結果的に、1個はうまくいったようです。
反省点はありますか?
PythonとRを使ったのですが、順番を間違えたなと思います。複雑なものから考えてうまくいかなくなってしまい、終了間際に慌てて修正しました。コーディングの時間が長ければ、モデルももう少し工夫したかったですね。
将来は、何を目指していますか?
今回のようにビッグデータをもとに施策を考えていくデータサイエンティストになりたいです。研究者になって新しい技術を扱うことよりも、実際に社会で使えるものを作ることに関心があります。夢は、自分をデータ分析すること。イライラしていたらその原因を分析して「よく寝ましょう」と言ってくれるとか(笑)。そういうものが作れたら楽しいなと思います。
ハッカソンには今後も出たいですか?
はい、今回の結果がとても嬉しかったので、また参加したいです!