仮想通貨で不動産が買える。ITで不動産取引を改革するイタンジが放つ、仮想通貨不動産売買プラットフォーム

不動産テックの株式会社イタンジが、新サービス「HEYAZINE COIN（ヘヤジンコイン）」をリリースした。 HEYAZINE COINは、仮想通貨ビットコインで不動産を売買できるサービス。ビットコインで不動産を購入したい、あるいは不動産を売却してビットコイン化したい顧客の通貨決済と契約・受け渡しを、イタンジがサポートする。物件の売買額だけでなく諸経費や手数料なども仮想通貨で決済でき、不動産取引にかかるすべての費用を仮想通貨で完結できるプラットフォームだ。

不動産テックとは、不動産取引にテクノロジーを取り入れて従来の不動産取引に変革を起こす取り組みのこと。その先進企業であるイタンジは、これまで、不動産仲介業者向けの営業支援クラウドシステム「ノマドクラウド」や不動産管理会社向けのリーシング業務支援システム「Cloud ChintAI（クラウドチンタイ）」などで不動産業務の効率化に取り組んできた。HEYAZIN COINは不動産×ITで不動産業務を改革してきた同社の新たなチャレンジである。

仮想通貨が「通貨」として成り立つための糸口を作る

「弊社はミッションとして『テクノロジーで不動産の在り方を変える』『不動産取引をなめらかにする』ことを掲げています。仮想通貨での不動産売買に乗り出したのも、このミッションを達成するためです」

そう語るのは、イタンジ株式会社の代表取締役CEO・伊藤嘉盛氏だ。HEYAZINE COINのサービス開始は新たなチャレンジであるとともに、他のサービスと同様、不動産取引の効率化を可能にするものであるという。

「例えば、外国の方が日本で不動産を買おうとすると本当に煩雑な手続きを踏む必要があります。日本の銀行口座を取得するだけでも大変ですし、それから本人確認をはじめとした様々な書類を作成して、またそれに伴う手数料もかかります。仮想通貨決済を利用することでこれらの手間や手数料を大幅に削減できます」

「また、仮想通貨で不動産を購入したいというニーズは必ずあると思っています。仮想通貨が通貨として成り立つためには、実際に使用できないと意味がないんですよね。ですが今はまだ使用できる場所が少なく、価値の保存機能しかありません。なので我々がパイオニアになって不動産取引で仮想通貨を使えるようにしよう、仮想通貨を通貨たらしめる糸口を作ろうと考えました」

HEYAZIN COINの登場は、仮想通貨で不動産投資が可能になることを意味する。伊藤氏も、単なる購入目的だけではなく、ビットコインで投資を行いたい人々が集まってくることを想定しているという。レート変動のリスクがある仮想通貨だからこそ、不動産という固定資産に換えたいというニーズは大きい。

不動産を売りやすく、買いやすい時代へ

かつては不動産といえば、1人のオーナーが1つの物件を所有するのが当たり前だった。しかし近年では、部屋ごとに所有権を区分して1オーナーが1部屋を所有する、不動産を小口化して証券を発行しその購入者全員でひとつの物件を所有するなど、多様化しつつあると伊藤氏は語る。HEYAZINE COINも、今後はさらに異なる形での不動産取引に対応していく予定だ。

「将来的には、物件を売りたい人がサイト上でトークンを発行し、買い手はそれを購入することでメリットを得られるという、不動産版のICO（新規仮想通貨公開）が行えるシステムを作っていきます。ICOの形をとることで即時性をもたせ、不動産特有の『売りにくく、買いにくい』という問題を解決します」

取引方法が多様化し即時性を持つことによって、不動産の流動性が上がる。流動性の向上は、不動産そのものの価値を引き上げることに繋がるという。

「不動産の価値は、売買にかかる時間や手間、お金といったコストの分だけ差し引かれてしまっています。我々が『不動産取引をなめらかにする』ことをミッションにしているのは、そのコストをできるだけ下げて不動産の価値を向上させることを目指しているからです。HEYAZINE COINはまさにそのミッションに即したサービスだと思っています。不動産業界は規模が大きく、社としてチャレンジするポイントはまだまだあります。不動産を中心に新しい技術を取り込んで、世の中にインパクトを出していきたいですね」

イタンジはこれまで、「不動産のあり方を変える」、「不動産取引をなめらかにする」というミッションを実現するため、テクノロジーで不動産業務を効率化してきた。HEYAZINE COINは従来の不動産取引そのものを変革させる、イタンジの次の一手である。