家族をチカク。IoTでつくるデジタル二世帯住宅。

2018年1月23日行われた、MeetUpイベント・TechMash「IoT開発の裏側を、サービス提供企業の中の人に聞いてみようNight」のイベントに、株式会社チカクから共同創業者・ソフト開発責任者の桑田健太氏に登壇いただいた。同社は、2016年度のグッドデザイン賞ベスト100にも選ばれた、まごチャンネルというサービスを行なっており、国内外で注目されている 。桑田氏は、スマートフォンのOS開発や100万ダウンロードを超えるアプリの開発に携わってきた。新たな挑戦として、同社を共同創業。現在はハードウェアやソフトウェアなど幅広く開発に従事している 。

※2018年1月23日に開催されたTechMashのご登壇時のものです。

シニアから若者へ、サービスの逆輸入を目指して

会社名のチカクというのは、実は「近く」と「知覚」の二重の意味が込められているんです。距離や時間を超えて家族や身近な人を「近く」にいるような「知覚」ができるサービスをつくりたいと考えています。我々の実現したい世界観としては、デジタル時代の二世帯住宅。祖父母世代から孫世代まで一緒に住むとなると、いろいろと不都合が出てきます。また、離れて暮らしていて1年に1回しか会えないのが寂しいですよね。そこでデジタルの力を用いて、一緒に住んでいるわけではないけれども隣にいるような実体験を提供したいと思っています。

まごチャンネルは、毎日出来る親孝行の考えから生まれたサービスです。我々の目標はシニアファースト。近年、既存のサービスの中でシニア世代も利用できるものが増えています。例えば、文字やボタンを大きくするといったものがありますが、それはあくまでシニア世代に「も」受けられるサービスなんです。我々が目指しているのは、シニア世代「を」メインとしたサービスの提供です。そして、そのサービスが我々のような若者世代へ下りてくるような世界観を目指しています。

離れて暮らしながらも、毎日できる親孝行「まごチャンネル」

我々の会社では、まごチャンネルというサービスの提供をしています。親がスマートフォンで撮った子どもの写真や動画を、離れて暮らす祖父母がテレビで簡単に見ることができるサービスです。その写真や動画を見ると親のスマートフォンに通知が行くようになっており、良いスパイラルが生まれる。そこで家族のコミュニケーションが進んでいくというものになっています。2016年の6月からローンチしていて、メインターゲットであるシニア世代の方々からは、達筆な感謝の手紙も送られてきますね。ユーザーは日本だけでなく、世界30ヵ国にいる状況です。

仕組みとしては、親がスマートフォンで撮ったものが、クラウド上にある我々のサーバに自動で上がり、そこから祖父母の家に置かれたデバイスの中に送信されます。我々の大きな特徴は、広域無線のシステムが組み込まれていることです。祖父母の家でネット環境がなくても、親側で整っていれば良いんです。

一般のWebやアプリサービスに近い形となっていて、基本的には全部AWS上で構築しています。我々は送られてきた写真や動画を、テレビで見やすいように調整をする作業を行なっています。ユーザーが増えるとその分、様々なデバイスで撮影した動画が送られてくるのですが、TSファイルという少し変わったものもありました。その場合は、いったん我々でトランスフォードしてから見られるようにします。また、撮った動画をそのままテレビで見ようとすると周りのノイズがうるさくなってしまうので、変換するときにこどもの声だけ大きくし、周りの雑音を小さくするといった工夫もしています。

開発体制

現在我々は、ハードウェアが1名+外注、サーバウェア3名、端末ソフトウェア2名の3チームで開発を行なっています。中でもハードウェアチームはかなり特殊になっており、性能を定義したりや試験を行なったりしています。量産は基本的には外注です。サーバウェアチームは、写真や動画を受け取ったりそれを変換、配布したりしています。端末ソフトウェアチームはユーザーの窓口になるようなもの、iOSやアンドロイドのアプリやテレビにつなぐアプリを作っています。普通のアプリとは異なり、我々は組み込みの受信ボックスのソフトウェアを書く必要があるので、外部の方を雇っています。

チームとしては、他のサービスをやっている人でも、興味があれば学習しやすい雰囲気だと思います。情報共有はQiitaチームを使っていて、社内の情報がある程度属人化されているけれども見えやすくなっているので、誰に聞けばよいかわかりやすいですね 。

IoT時代のいま

注目している技術はGoogle HomeとAmazon Alexa。今まで良くも悪くもエンジニアだけの話だったものが、一般の人々 の生活に組み込まれることで本当のIoT時代に入ったのかなと感じますね。まだ一般的に普及しているとは言えないと思いますが。実際に10年前はタッチパネルでの操作は一般的ではなかったですが、徐々に普及していきました。今は語りかけることが恥ずかしいとかで、音声入力がすぐに浸透するといったことはないと思います。しかし、今の小学生は語りかけることに抵抗はないようなので、彼らが成人する頃には変わっているかもしれないですね。

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