IoTサービス成功のヒントは、「とにかくつくる」にあり

2018年1月23日行われた、MeetUpイベント・TechMash「IoT開発の裏側を、サービス提供企業の中の人に聞いてみようNight」のイベントに、株式会社神戸デジタル・ラボから取締役兼IoT班長の村岡正和氏に登壇いただいた。同社は神戸にあるシステム開発企業で、IoTを中心とした新規事業開拓を行なっている。村岡氏は現役のWebエンジニアでもある一方、HTML5コミュニティに携わったり、NPO法人ウェアラブルデバイスユーザー会監事を務めたりと、様々な活動を行なっている。

IoTサービスのきっかけはトイレ

当社でまず最初にバズったのがトイレなんです。オフィスのトイレに 空きがあるかどうか、リアルタイムでわかるようなシステムをつくりました。なぜかというと、男性トイレの個室が2つしかなくて昼休憩になるとものすごく混むんですよ。トイレに行ってから空いてないとわかると嫌じゃないですか。とにかくそれを何とかしようと思ってIoTのリアルタイムアプリケーションをつくってみると、全国から問い合わせが殺到しました。さまざまなメディアで取り上げられ、今では当社もIoT専用のクラウドプラットフォームを開発しています。

神戸大学と共同で雲の画像とAIによる気象予測の自動化システムを開発したり、アパレル業界におけるファッション系のチャットボット開発をしたりと、幅広い分野で取り組んでいます。IoT開拓から見えてくるものは、コネクティビティが大事だということです。ITの素人さんが多いメーカーとタッグでIoTをつくり、ビジネスとして成功させる。これが、うちが国内で成功していった方法です。当社はシステム開発なら何でもやる会社。最近はAIやIoTの需要が高まっているので、そういう新規開拓をシステム開発の観点でやっています。

IoTへ0からの挑戦

当社はクラウドが得意なので、他社とタイアップして事業を進めてきましたIoTのデバイスは1個もなかったんですよ。全て独学で、思いついたらやってみる精神でここまできました。開発に本気になると、ググろうがQiitaを見ようがとにかくやるんですね。その中で失敗や成功をしながらも、開発ノウハウを得られるわけです。また、その方がコストが安いんですよ。1週間や半月に数回会議を繰り返したら、人件費はなんぼかかりますねん、というわけです。我々の中では、徹底した「思いつき駆動」と呼んでいます。それについての手応えは感じています。

大企業は、クイックなプロトタイプをあまりやらないんですよね。当社が2週間ほどでそれをやると喜んでもらえるんですよ。当社としても企業側としても嬉しいですよね。そのような形でビジネスの企画提案からはじめて新たなIoT開発に挑戦しています。思いつきをアイデアにすることは誰でもできること。あとは、根性ですね。自分の力で頑張って、プロトタイプベースでIoT開拓をやっていければ良いと思います。

積極的な教育体制「とにかくつくる」

1つは、思いつき駆動。先ほど少しお話しましたが、「とにかくつくる 」。常に現場が勉強だと言っていますね。エンジニアがものをつくることは、世の中に提供できる価値だと思っています。もう1つは、部活動という制度を社内で設けています。個人研究をやりたい人達に対して、ある程度部費を提供するというものです。みんなの趣味から始まる開発がビジネスにつながる。それが社員のスキルアップにつながっているのではないのかと思いますね。実際にウェアラブルExpoでは、社内のVR部から始まった株式会社モリサワと 共同開発したものが、ピックアップされました。

今後はハードの知識も必要に

開発についてはなんでも1人でやるという方針で、クラウドに重きを置き、デバイスに関しては他社とのパートナーシップで、プロトタイプは当社で行なうようにしています。なぜかというと、長期的に考えたときに今後IoTのシステム開発が増える中で、ソフトウェアエンジニアもハードウェアエンジニアの思考回路やデバイスの基礎が必要になるからです。デバイスパートナーと、共通言語で打合せをしなければなりませんので、我々にその知識がないと話になりません。そのため、ハードウェアの知識をソフトウェアエンジニアに学ばせ、またその逆も然り。みんなが企画設計や開発ができる体制で取り組んでいます。事業のスタイルのよってIoTの考え方がまるで違うとは思いますが、その辺の苦労話はぜひ懇親会で。

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