よりよい暮らしに寄り添う技術を作る!株式会社LIXILの研究データを用いた新技術実験設計ハッカソン 最優秀賞 文 翔さん 東京理科大学 理工学部 情報科学科

2020年10月中旬、3日間にわたって、株式会社LIXIL(リクシル)主催のイベント「よりよい暮らしに寄り添う技術を作る! リクシルの研究データを用いた新技術実験設計ハッカソン」が開催された。建材・設備機器では国内最大手であり、IoT技術の開発や、データ分析にも積極的に取り組んでいる、株式会社LIXILによる初のAI学生向けハッカソンだ。

今回の課題は、同社の研究・実験施設であるU2-Home IIで収集されたデータからの課題発見と、それを解決する新技術の考案だ。新技術については、U2-Home IIで試行する実験設計まで行ってもらう。参加学生たちにとって、国内最大手企業のデータに触れながら、データの分析方法や設計方法について学ぶことができる大きなチャンスとなった。

今回総合1位を獲得した文(かざり)さん。順位そのものよりも、自分の思いをきちんと伝えることができ、共感してもらえたことが嬉しかったという。データ分析がうまくいったために、周りと差をつけることができたが、ビジネスモデルの設計には時間がかかったようだ。その他の工夫点や反省点、メンターの印象についてインタビューした。

大学ではどんな研究をされていますか。

いま学部3年生です。情報科学科で、主に多変量解析に取り組んでいます。2年生で統計学を学び、データ分析に本格的に取り組みはじめたのは、ここ半年くらい。データ分析を活かしたGoogleのビジネスモデルに感銘を受けて、データサイエンスに強い関心を抱くようになりました。将来はデータサイエンティストとして、エンドユーザーに価値を届けられるような仕事ができたらと考えています。

今回のハッカソンに参加したきっかけは?

ハッカソンに参加したのは、尊敬する先輩のアドバイスがあったからです。「先輩のようになるには、どうしたらいいですか?」と聞いたら「とにかくハッカソンに出ろ」と。出れば、企業のメンターや他の学生からいろんなことを吸収できるから、ハッカソンに出て実力をつけろと言われて、もうやるしかないと(笑)。実際に、今回出てみて、その通りだと思いました。顧客にどれくらい価値を提供できるかという実務の縮図のようなハッカソンだったので、本で勉強するのとは比較にならないほど大きな学びを得ることができました。

ハッカソンの感想をお聞かせください。

総合で1位をいただきましたが、順位そのものよりも、自分の思いをみなさんにきちんと伝えられて、共感してもらえたことが嬉しかったです。メンターの方からは「データ分析・課題発見・解決という流れがスムーズで、ロジックが一貫していて面白い」と言われました。アライアンスの他の学生からも、人感センサーを自分で補間し、10分ごとの平均値で連続したデータに変換した発想を褒めてもらい、嬉しかったです。

今回は、データの分析からビジネスモデルを設計するまでの過程がとても難しかったです。あれもこれもといろいろなアイデアが湧いてきて、どれにすべきか迷ってしまって。そこで、インターン先の先輩がいつも「データは常に当事者目線でストーリーを立てて分析しろ」と言っていることを思い出して、もし自分が親だったらこんなサービスが欲しいだろうと考えて、子どもの浴槽における水難事故防止というアイデアを選択しました。

他の方と比べてうまくいったのはデータ分析でしょうか。CO2データの欠損値の処理にてこずっている学生が多かったのですが、僕は予測値を入れて線形補間したので、きれいにまとめることができました。

周りの学生は、みなすごいと思う人ばかりでした!鏡に映った顔色を画像認識して、その人の体調を検知するというモデルを考案した学生もいて、とても面白いと思いました。

全体を振り返っての反省点は、ビジネスモデルの構築に時間がかかりすぎたことです。誰に価値を届けるのか、もっとシンプルにペルソナ設定をすればよかったと思います。

メンターの方や、主催の株式会社LIXILにはどういった印象を持たれましたか。

メンターの方に対しては「すごい!」のひとことです。アイデアソンに出たのは今回がはじめてでわからないことだらけだったのですが、とても親切に接していただいて、的確なアドバイスやフィードバックをいただきました。本当に感謝しています。

リクシルさんは、LIXIL Behaviors(3つの行動:正しいことをする/敬意を持って働く/実験し、学ぶ)に表されているように、顧客に価値を創造することに重きを置いている素晴らしい会社だと思いました。デジタル事業にも非常に積極的に取り組んでいて、 データサイエンティストが活躍できる場がたくさんありそうです。

これからどういったチャレンジをしていきたいですか。

今回は目に見える結果が出たことで、大きな自信につながりました。これからも実データを扱うハッカソンに積極的に参加したいです。コロナの影響でビジネスモデルがどう変化したのか、というようなデータも面白そうですね。国内だけでなく、Kaggleのようなプラットフォームで世界中の人とも競い合ってみたいと思っています。

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