Peakers Academy Exawizards Cup 最優秀賞 中川 椋太郎さん – 東京大学 新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻

2019年7月初頭に行われた、Peakers Academy Exawizards Cup。参加者に与えられたのは、インドの防犯カメラ動画を用いた人工知能の活用方法およびその実現までのフローを考案し、デモを作成するという課題だ。形式はチーム制で3名1組。デモの完成度はもちろん、実現フローにおいてはアーキテクチャが実際の導入に耐えうるかどうか、またアイデア自体のビジネス的なインパクトや価値も評価の対象となった。メンターにはエクサウィザーズ社のビジネス部門から1名、機械学習エンジニア2名が参加し、技術とビジネスの両面からサポート。参加者は人工知能による課題解決を実際の業務に近い形で体験することができた。

2日間にわたる取り組みの末最優秀賞を獲得したのは、チームCが製作した「Image Health」。企業に設置された監視カメラ動画から従業員の健康状態をチェックし、心身に不調のある従業員のサポートに活用するというアイデアだ。プレゼンでは動画内の人物の表情から健康状態を3段階で測定するデモを披露し、その実装能力の高さと計画性、またビジネスインパクトの大きさで高い評価を受けた。

チーム内で主に要件定義や設計を担ったのが、東京大学 新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻の中川 椋太郎さん。大学院で建築と環境を学びながら、AIが今後のテクノロジーにおけるベースになると考え自力で機械学習のスキルを身につけている中川さん。将来的には建築分野にAIを生かしたいという中川さんにお話を伺った。

ハッカソンに参加してみていかがでしたか?

ハッカソンへの参加は、今回が初めてでした。研究ではなくて、産業要素が盛り込まれたテーマということで、AIが産業にどう活用されるのか、そのプロセスを感じられるのではないかと期待して参加を決めました。実際にやってみて感じたのは、目的に沿ったモデルが使うことが大事なんだということ。最先端の複雑なモデルを使ったり、モデルの精度を上げるというよりは、目的に叶うモデル選択が大事なんだと思いました。

要件定義の際は、「ちゃんとビジネスとして生きる能力があるだろうか?」という点を突き詰めて考えました。どんなに良いモデルでも、活用できるポテンシャルがなければ意味がないからです。方向性を決定するのは早かったです。防犯カメラの映像という所与のデータを使い尽くして、ビジネスとして成り立つソリューションは何だろうと考えたときに、「これしかない!」と方向性が見えたので、あとは迷いませんでした。

今回高く評価されたのは、デモが見せられたことと、別分野でも活用できるというサービスの拡張性などが評価されたからではないかと思います。欲を言えば、もう少しデータの幅を広げたかったです。今回、顔の画像データを利用しましたが、顔の画像からわかる情報というのはそれほど多くありません。なので、顔だけでなく別の部分の情報もうまくいかせたら、さらに面白いことができたんじゃないかと思います。

今後、技術的にどのようなチャレンジをしていきたいですか?

将来どんな方面に進むかはまだ明確には決めていませんが、建築とデータ分析の知見をいかした仕事をしたいです。都市の交通データや建物の設計データなど、建築に関わるデータはたくさんあるので、活用の余地は大いにあると思います。現状は、技術の最先端を走るAIに建築が追いついていないので、自分がAI×建築の新たな分野を切り開いていきたいです。

エクサウィザーズ社にはどのような印象を持ちましたか?

エクサウィザーズは、フラットな組織で、いろんな事業に積極的に取り組まれている会社だと感じました。メンターさんは皆さんとても優秀な方ばかりで、審査員という立場にも関わらず的確なアドバイスを惜しみなくいただけたのが、とても嬉しかったです。

今後も、チームハッカソンにはぜひ参加したいです。今回、産業面でのAIの活用方法を知ることができました。この知見をいかして、自分の進むべき道を探していこうと思っています。

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