AWSの計算資源を用いた画像認識コンペティションを開催!クローズドデータを用いた画像認識にディープラーニングで挑もう。最優秀賞 宮本大輝さん 岡山大学 工学部電気通信系学科
株式会社日立ハイテクが手がける「AWSの計算資源を用いた画像認識コンペティション」が2021年2月13日-14日、オンライン開催された。本イベントは、個人戦の機械学習コンペティション。画像解析を中心に様々な経験・スキルを持つ25名の学生が丸2日間しのぎを削った。また、当日は日立ハイテク社のデータサイエンティストが技術メンターとして参加。日立グループでも特に先端技術(ナノテクノロジー、バイオ・メディカル分野での分析技術、先端産業部材など)を提供する高い技術力で、学生をフォローした。
2日間に渡る激戦を制したのは、岡山大学工学部電気通信学科4年の宮本大輝さん。普段は、岡山大学の情報セキュリティ研究室に所属し、楕円曲線暗号に関する研究を行う傍ら、企業との共同研究にも参画する。「ハッカソンの印象は?」「好成績につながったポイントとは?」など、お話を伺った。
コンペティションに参加してみていかがでしたか?
今回のテーマは「電子顕微鏡で撮影した半導体回路の画像データを用いて、AWSの計算資源を使いながらディープラーニングで不良品検知を行う」というものだったので、自身が得意とする画像認識やPythonの専門知識を最大限活かすことができたという印象です。
とはいえ限られた時間の中で緊張したり焦ったり…終始、切迫感はありました。
私は他の方とは異なる手法を取り(今回のような画像分類課題ではベーシックではない)物体検出のアルゴリズムであるYOLOを用いたので、提供されたAWS環境にYOLOを組み込む必要があり、環境開発のところから少し手間取っていました。
モデル学習に時間がかかる手法でもあったので、ひたすら早くやらなければ…という状況です。
1日目は会が終了した後もかなり頑張って、2日目は最終結果の提出〆切の10分前まで学習させていました。残り10分で後処理を加え、何とか時間内に提出することができた形です。あと10分遅ければ、優勝することはできなかったと思います。
物体検出アルゴリズムを用いるという特徴的な手法をとられていましたが、どんな点が好成績に繋がったのでしょうか?
YOLOは私がいつも使っている技術で、それを使って今回の課題を解けないかと考えて取り組んだところ、課題にフィットした、という印象です。”慣れた技術”をもって挑むことで、自分なりに工夫できたことが大きかったと思います。ネット上にソースやマニュアルなどの例はいくつかあがっていますが、それだけではなく「自分なりの過去の経験」から生まれる工夫が大きく響いたと思います。
大学でのご自身の研究が活きた部分はありましたか?
私の研究分野は暗号系であり、今回のテーマとの直接的なつながりは薄い分野ですが、研究室では幅広い企業との共同研究プロジェクトを進めています。その一貫で「画像認識技術を用いた資産管理」に関するプロジェクトに従事した経験があります。その時に身に付けたコーディング力や知識がとても役立ちました。
研究室はいつも「早く動く」「効率的に動く」という軸でナンバーワンを目指しているところです。
“とにかく早く” “一番になる“というとことは日頃から意識しています。
主催の日立ハイテク株式会社や、メンターさんにはどんな印象を持たれましたか?
メンターの方々は非常に相談しやすく、実在する企業の本物のデータを取り扱いながら、現場目線の技術について教われたことが何より刺激になりました。日立ハイテクという”実在する企業”の画像データに触れられたことで、現在学んでいる技術は実際に社会で活かせると実感でき、嬉しかったです。データやメンターの方々を通じて、日立ハイテクに対する興味関心も高まりました。
今後、どのようなチャレンジをしていきたいですか?
自身の技術を”差別・区別のない社会”の実現に活かせるようになりたいと考えています。
その一つとして、2021年中に事業化を目指し、サービス開発を進めているものがあります。
想いを伝えることのリスクを解消する「スキッテ」というサービスです。現在はテスト運用中で、登録者数を増やすために、Vue.js,Firebase,AWS等を使って相性診断アプリの開発を進めています。
既存のマッチングアプリは「男性が有料で女性が無料」といった”性による区別”がある状態ですが、「スキッテ」では性別・年齢・国籍関係なく想いを伝えることができます。こういったまだ誰も挑んでいない「市場の穴」を見つけ、テクノロジーの力で解決していくために、チャレンジを続けたいと思っています。