グルメ業界という多くのプレイヤーがひしめく大海で、「グルポケ」はいかにして大鯨となるか

大手が応えきれていないニーズをキャッチし束ねると大きな価値になる

株式会社NiCOLAのCEO・吉村光八さんはこう語る。同社が運営しているのは、飲食店の情報をリスト化して保存することに特化したグルメアプリ「グルポケ」だ。 グルメサイト・アプリ業界には「ぐるなび」「食べログ」といった大手サイトをはじめ、実名型レビューで大きく業績を伸ばしている「Retty」など、力のあるサービスが数多く存在する。すでに競争が激しく開拓の余地は少ないようにも思える分野だ。しかし吉村さんは、グルメ市場には今このタイミングだからこそチャンスがあるのだと話す。様々なビッグプレイヤーが競い合う渦中に誕生した「グルポケ」は、どのようにして業界を勝ち抜いていくのだろうか。

人をハッピーにするには、まず自分から

吉村さんはグルメサービス「ペコッター」でのインターンやサイバーエージェント・ベンチャーズでのアソシエイト経験を経て、起業している。グルメという分野を選んだのは、その経験を活かすと同時に、サービスを作っていくにあたって自分自身がユーザー視点をもつことを重視したからだという。

「人をハッピーにするにはまず自分がハッピーになれるサービスじゃないとだめだよね、という思いがあって。そういう中で、自分の一番好きな領域であるグルメが直感的に良いなと思ったんです。好きな分野を扱って、作る側がユーザー感覚に浸れたほうが課題感も見えやすいですし、『ここをこうしたほうがいい』というアイデアも出てくる」

また、もう一つの理由として市場規模の巨大さもある

「グルメのマーケットは外食産業で3500億円の巨大市場で、ビッグプレイヤーといえども寡占状態ではないんです。実際には自分たちのようなスタートアップや中小企業がシェアをたくさんとっている。なぜかというと、『食』ってニーズに多様性があるんですよ。マーケットの規模が大きいからこそユーザーがそれぞれ違ったニーズをもっているし、一つのニーズに特化してある特定の層をめがけていくようなサービスであっても、十分にユーザーを確保することができるんです」

「お店に出会う」体験を、逃させない

「グルポケ」は、食におけるユーザーの様々なニーズの中でも「お店の情報を整理して保存したい」という思いに応えるアプリだ。ユーザーは気になる飲食店や行ったことのある飲食店をアプリ内に登録し、それを利用シーンや場所、予算など好きな分類でリスト化して保存しておくことができる。

「グルポケ」のアプリ画面(開発中のものです)

数多くのニーズの中で、吉村さんはなぜ「お店を保存する」ことに着目したのだろうか。ここでも彼から最初に発せられたのは、ユーザーの目線に立った言葉だった。

「行きたいお店が頭に浮かんだり、SNSでお店を見つけて『ここ行きたいな』と思ったりしても、みんな結局忘れてしまうとか、保存しない、ということが結構あるんじゃないかと思っていて。行ったことのないお店に行くのってひとつ新しい体験だと思うんですけど、せっかく見つけたお店を忘れてしまったらその体験ができなくなってしまうじゃないですか。そういうある種の機会損失をみんな潜在的に持っているんじゃないか、というのが理由のひとつですね」

さらに吉村さんは、様々なサービスが競合する今こそがユーザーの動くタイミングであるとも語った。既存の大手サービスが様々な機能を網羅する中で、そのひとつひとつに対してユーザーの細かな不満が生まれてきているのだという。「お店を保存する」ことにも、他のサービスが応えきれていないニーズがある。

「他のサービスの中でもお店のリスト機能っていうのはすでにあるんですけど、そのリストが200、300と溜まってくると探しづらくなってしまって、みんな結局検索しているんですよね。ただぽちぽち押して無作為に放り込まれていってるだけ、みたいな状態になっているんです。そこで『グルポケ』で簡単に記録や整理ができるようにして、たくさんおいしいお店を知っていてかつ新しいお店にも興味があるグルメなお客さんに喜んでもらおうというイメージです」

飲食体験に新たな価値を見出し、大鯨となる グルメ業界という大海だからこそ、大型プラットフォームのサービスに満足しきれていないユーザーのニーズを束ね、そこに応えていくことで、確実に人を集めていく。しかし、その展望は他のサービスに随伴するだけには留まらない。集めたユーザーにさらなるサービスを提供し、人々の飲食体験を変えていきたいという思いがある。

「次のフェイズとしては、お店に行ったというチェックインの記録をつけられるようにすることと、それに応じたクーポンの配布を考えています。たくさん来店することでグレードが上がったり、チェックイン回数をユーザー間ランキングで競い合ったりして、その結果に応じてクーポンを提供していくようなスタイルですね。これは二度三度来店することにインセンティブがあるので、ユーザーだけではなく導入する飲食店側にとっても有益なサービスになると思います。ただ、アプリのリリース後しばらくはユーザーを最優先に、彼らの動向をしっかり見て最高に喜ばれるサービスを作っていきます」

そして、吉村さんは「グルポケ」が目指す未来についてこう語った

「今までの飲食店とお客さんの関係って、お店側がクーポンを配布したり情報を掲示したりして『来いや!』みたいな、一方通行の硬直的なものだと思うんです。今は一人一台スマホを持つ時代なので、そこをもっと柔軟に、個々のユーザーにカスタマイズされたものが提供できるようにしたいですね。一方的だとか決まりきった形じゃない、柔らかい飲食体験を生み出していきたいです」

株式会社NiCOLAは総勢4名の小さなチームだ。「グルポケ」のサービスが開始されたばかりの現在、新たなエンジニアを募集している。ともにサービスを作っていく仲間の人物像として、吉村さんがまず挙げたのは、やはり「ユーザー目線」だった。

「今の僕らのフェイズでは、ユーザーの方にどれだけ使ってもらって、幸せになってもらえるかが何よりも重要だと思っています。もちろん技術は大事ですが、まずはユーザーに重きを置いたうえで開発できるエンジニアさんを求めています。僕のイメージでは、野武士的な感じです。プロジェクトの全容をしっかり見ていたいとか、自分の意見が直接プロジェクトに反映されることに喜びを感じるような、『世界をさらによくするプロダクトを作りたい』という思いの強い人にぜひ来てもらいたいですね」

小さなニーズを掴み切った先に大きな展望が待っている。吉村さんには、レッドオーシャンで「今」を生き抜く堅実な戦略と、サービスを成長させる「未来」のための確かなビジョンがあった。

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