「2022年に世界ナンバーワンを目指す」急成長メンズコスメメーカーの野望

メンズコスメ(男性用化粧品)と聞くと、美容に興味のない方はここで読むのをやめてしまうかもしれない。それほど、日本国内ではまだまだニッチな市場だ。しかし、いま大きく成長している市場であり、最近ではテレビCMや雑誌などで目にすることが増えてきた。

そんなメンズコスメ業界で存在感を増しているのが、野口卓也さん率いる「BULK HOMME(以下「バルクオム」)」だ。野口さんは1989年生まれ。まだ若いにも関わらず、何度かの起業、そして失敗を経て、2013年4月、バルクオムをリリース。広告宣伝費やパッケージに費用をかけがちな業界において、それらの要素を徹底的に削り、シンプルながら、高品質な製品を開発。「2022年にはメンズコスメ世界一」を掲げる代表の野口さんに話を伺った。

2014年にはクラウドファウンディングで国内最高額(当時)の資金調達を達成した代表の野口さん

海外マーケットにも挑戦、文化を創るブランドになる!

「今、日本に限らず世界中で男性用コスメ市場は確実に成長しています。我々は中期的な目標として、2018年には国内シェア1位を目指しています。さらには中国を皮切りに海外進出にも挑戦しており、2022年には売上規模で世界一を目指しています」

2016年末に香港で行われたコスモプロフ。世界中から数百のブランドが集まる「美の祭典」においても大きな存在感を示したバルクオム

野口さんは、バルクオムの販売戦略において「ブランドファースト」であることに、創業時からこだわり続けてきた。

「我々の課題は、美容に興味の薄い男性に、いかに興味を持ってもらうかということ。効果効能を謳って男性が化粧品を買うのであれば、とっくに買っているはずですよね。スキンケアをするという習慣を、文化として浸透させていきたいし、その時にバルクオムがブランドとして思い出される。そういった状態を作り上げたいと考えています」

「ブランドをグローバルに育てたい」大きなビジョンに惹かれて入社を決意

世界的に有名なIT企業から、2016年10月マーケティングディレクターとして転職

鈴木さんは、マーケティングディレクターとして、バルクオムの販売促進全般を幅広く統括している。前職、前々職とグローバルな企業でBtoBのマーケティングを担当していたが、もっと企業規模の小さいブランドをグローバルに成長させる挑戦がしたいと考え、バルクオムへの転職を決意した。

「代表の野口が、クラウドファンディングで資金を調達したニュースを知って、これは面白い人だなと思いました。当時バルクオムは知っていたものの、実は他のブランドのスキンケア商品を使っていました(笑)。しかし、ずっと気になっていた会社だったので一度試しに商品を使ってみたところ、商品自体をかなり気に入ってしまい、ちょうどその時マーケティングディレクターも募集していたので、ぜひと思い応募致しました」

とはいえ、大手企業を渡り歩いたキャリアから、ベンチャーに飛び込むという選択に迷いはなかったのか。鈴木さんは、決断した要因として、「野口の”2022年に世界一”というビジョンに乗っかりたかったというのもある(笑)」と話す。

「転職活動を通じて、大きなビジョンに向かって達成するみたいなことが、自分の根源的なモチベーションであるということに気が付いたんです。化粧品業界のマーケットは2.2兆円くらいあって、そのなかでもメンズコスメは200億円くらいと非常に小さい。でもユーザーの育成次第では市場が大きくなると言われて、やる気スイッチが入ってしまいました(笑)」

スキンケアをする男性は、着実に増えている。バルクオムの客層は20、30代が中心だが、40代、50代も決して少なくない。「男性がスキンケアをすることが当たり前の世の中にしたい」、野口さんが語るビジョンが少しずつ実現に近付いているのかもしれない。

今後、バルクオムではどのような人材を求めているのか。鈴木さんに聞いてみた。

「2022年にはメンズコスメ世界一を目指しているので、マインドが高く、目標に向かってチームワークを重視して動ける人が向いていると思います。もちろんWEBや広告、ECの知識は必須です。やりたいことはたくさんあるけれど、人材が足りていないのです。言われたからやるのではなく、相手の期待値を理解して率先して動く人が必要です」

「ブランドを創る」という意味ではまさにこれからがスタート

吉田さんは前出の鈴木さんと同じ2016年10月入社、ブランディングディレクターを担当

大手ブライダルジュエリーメーカーや、グローバルスポーツブランドでクリエイティブディレクターをしていた吉田さん。自分のクリエイティビティを本気で奮い立たせる為に、どのような場所に身を置くことが正しいのかを考えて、転職サイトに登録した。

「もともとはファッションに特化したグラフィックデザインを勉強していて、出版社や広告代理店でグラフィックデザインをやってきました。バルクオムの入社前には、クリエイティブチェックがあるということだったので、面白半分でやっていたら、だんだんこのブランドに愛着が沸いてきてしまいました。単純に物を作るというより、考え方や、世の中にどういうロジックで刺していくとか、商品のセールス戦略まで考えたプランを作ってくれと言われたのも、ここで働きたいと思った理由でした」

実は、吉田さん自身は「スキンケアをまったくやったことがなかった」という。だからこそスキンケアに関心がない人に、どうやったら使ってもらえるのかを考えるのが向いていたし、やりがいを感じたという。

「自分が培ってきたファッション業界のロジックが使えるなと思いました。オシャレ、カッコイイとかプラスの形容詞のまわりには、人は確実に集まるので、五感に響くものを提供すればメンズコスメでも自分のスキルは活かせるなと。忙しくてやることは非常に多いのですが、明確な目標に対して自分がどれだけ貢献できるのだろうという気持ちが原動力になっているのでしょうね」

前述のように、野口さんは「バルクオムのブランド戦略」には非常に強いこだわりを持ち続けてきた。ブランドディレクターである吉田さんに対する期待は大きいだろう。ブランディングの側面で、今の課題や今後のビジョンについてはどう考えているのだろうか。

「ブランディングによって、売上、そしてお客様に抱いていただくイメージ、その2点を改善していく必要があると感じています。短期的にはクリエイティブの品質を上げるという話になるかもしれませんが、長期的には、「世の中がバルクオムの空気になっていく」というところまで持っていきたい。ブランディングというと、ただかっこいいものを創ることだと思われがちですが、そうではない。もっと幅広い視点で考えられる人材を求めています」

自然体で「世界を目指す」という柔らかさ

バルクオムの目指す目標は非常に高く、実際スタッフの皆さんは、「仕事が楽しくてついやりすぎてしまう」と漏らす。しかし、職場の雰囲気は意識が高く体育会系な感じなのか…と思いきや、全くそんなことがない。面接に行ったら肩透かしを食らうかもしれない。

「うちのスタッフは、バランス感覚の良い人が多いと感じてます。仲は良いけど、ドライでもある。会社主催のイベントや飲み会もほとんどない。自然体で同じ目標に向かっているから、あえてやる必要もないかなと。年齢もキャリアも様々なので、お互いのことを尊重し、プライベートも大事にするようにしてもらっています」(野口さん談)

全員がプロフェッショナルとして自走しているかといえば、スタッフの基礎力を高めるために2年間学校に通わせていたりと、面倒見も良い。一方で、全社員が一定額以上の決裁権を持っているなど、自分次第で挑戦できるフィールドは十分にありそうだ。年齢も20代前半から40代まで幅広く、多様性のあるメンバーがそれぞれを尊重していることがよく伝わってきた。そんな環境で「世界一」という高い目標にチャレンジしてみたい人、野口さんに話を聞きに行ってみてはどうだろうか。

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