インターネットで美容医療業界の健全化に挑む、ビジョンドリブンなスタートアップ

2015年に立ち上がった株式会社ニコリー。檜垣氏自身が外見的なコンプレックスに 悩んでいた経験から、コンプレックスで悩んでいる人たちに正しい情報を提供した いという想いで生まれたWebメディアだ。いまのコンプレックス産業は、不必要に 煽り、不安にさせ、購入に至らせるサイトが多い。ユーザーではなく、会社の利益 を重視されがちな領域において、彼らは業界の健全化を目指しているという。

そもそものビジネスモデルすら変えていく

美容医療における苦情が減っていない。これは業界全体でも課題として認識されて いることだ。 患者と医師との間で、しっかりとした意思疎通ができていないと、自 分の思い通りのものにならないということが 起こってしまう。そこの根底から解決 しないと、業界全体がシュリンクしてしまう。

解決するためには、適切な情報を適切な人の元へ届けられることが重要だ。 しかし、それがなかなか実現できない事情がある。美容医療業界におけるWeb広告のビジネスモデルは、 Webメディアから病院に送客し、その患者が施術をしたところで 成果が発生し、利益になるというものだ。そのため、メディア側には「いかに施術 させるか」 という意識が生まれてしまう。これが、ユーザーを煽り、不安にさせて いる元凶とも言えるだろう。

そこに課題意識を持ったニコリーは、ビジネスモデルをそもそも変えるところから 挑戦した。施術を受ける受けないに関係なく、予約をした時点で料金が発生すると いう仕組みである。予約してカウンセリングを受けた結果、患者にとっては「施術 しない」という答えがゴールでも良い。

「適切な情報を提供することで、ユーザーさんに笑顔になってほしいと思っていま す。施術はしなかったけど、カウンセリングを通じてコンプレックスを受け入れた り、解決方法があるんだということを知って、結果笑顔になってくれればそれでい い。そのゴールを、ビジネスモデルという形でもしっかり実現したかったんです。 ゆくゆくはこれが業界のスタンダードになればいいなと思いますね」

創業当初から「適切な情報を届ける」という軸があり、取材と医師監修を大切にし てきたという。コンプレックスで悩んでいる人をただ笑顔にしたい。その実現は、 単なる理想論や精神論ではなく、合理的にビジネスモデルにまで落とし込まれていた。

ニコリーは、会社のミッションとして「to top, go asia, be good」の3つを掲げてい る。 今、最も力を入れて取り組んでいるものが「to top」。美容医療クリニックへの送客 数国内No.1を目指している。業界トップの実現のためには、ユーザーが求めている 情報を最も多く提供することが重要だと、檜垣氏は語る。

信頼性を大事にしているニコリーだが、数か月前、外部から記事の修正フローに対 する指摘を受けた。そこで、ニコリーが下した判断は、全記事非公開。即断即決、 迷いは一切なかったという。

「『コンプレックスと言えば、ニコリーだよね』と思われるためには、曲げてはい けない強い信念を持たなければいけません。我々はその施策として、ミッションに be good(良い会社であり続けること)を置いています。そのミッションに従えば、 全記事非公開の判断は当然でした」

最大で全記事に影響があるかもしれないということから、過去に出した記事全てを チェックするという決断をした。まさに、常に誠実であり続けるという信念を貫い ているからこそ、できたことではないだろうか。 そして、今後は「go asia」。アジア圏へのアプローチにも力を入れていくようだ。 大手クリニックでは売り上げの1割が中国人とも言われているほど、美容医療の業 界でもインバウンドが盛んだ。

「日本には優れた技術を持った美容医療クリニックが多くあり、海外からのニーズ は強い。もちろん人種的にコンプレックスの種類が近いこともあります。具体的な 取り組みとしてはこれからですが、中国人が日本のクリニックを選択する際の情報 提供をしていきたいと考えています」

コンプレックス×ITの世界

檜垣氏自身もコンプレックスに悩んだ過去がある。そして、前々からコンプレック スにフォーカスした大企業がないことを疑問に感じていたという。 「コンプレックスにフォーカスする会社は、IT企業であるべきだと思ってます。コ ンプレックスは人に相談しにくく、多くの場合最初に触れるものがWebメディア情 報なので。そこで正しい情報提供をしている企業があってしかるべきだし、市場規 模的にもそのポジションの企業は、大きくてしかるべきだと思ってます」 コンプレックスは身体的なものと精神的なものの2つに分けられると、檜垣氏は言 う。そして、笑顔にする方法としては、解決する・受け入れる・気にしなくなるの3 つに分けられるという。 「これらをかけ算をすることで、我々はコンプレックスで悩む人を笑顔の世界を実 現したいと思ってます。そして、その第一弾として身体的×解決するを組み合わせ ることで、『インターネットでコンプレックスで悩む人を笑顔にする』。それがニ コリーです」 ニコリーは、自社のウェブメディア運営に興味があり、グローバル、コンプレックスの解消、ビ ジョンドリブンといったキーワードに興味が持てたなら、ぜひチェックしておきたい成長中のス タートアップだ。

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