Find Innovation Seeds!世界の当たり前を変えるIoTスタートアップの飛躍前夜を目撃せよ

新しい技術の採用、スピーディな意思決定、顧客やマーケットと直接関わっているという実感、組織全体の成長速度、ストックオプションなどの魅力的なインセンティブ…働く場としての「スタートアップ」は、人によっては非常に魅力的に映るかもしれない。一方で、様々なリスクがある(かもしれない)ということにも、みんな薄々気が付いている。転職先としてのスタートアップを選ぶ際の最大の難問は「果たしてそのスタートアップは、本当に爆発的な成長をするのか」ということだ。今回ご紹介するPLANTIO社は、まさに「イノベーション前夜」。日本のみならず、世界の常識を変えていくポテンシャルを持ち、今まさに羽ばたこうとしているスタートアップだ。日本発、世界で戦える稀有なスタートアップの「実際のところ」を聞いてみた。

先端テクノロジーでレガシーな領域を「アップデート」する

PLANTIOが創っているのは、いわゆるIoTデバイス。個人宅向けのプランターから、オフィスや商業施設の屋上で展開する畑まで、その規模は様々だが、「農作業を最適化」してくれるものだ。土壌の水分量のほか、農作物の状態をカメラでモニタリング、天候情報などを取得し、次に採るべき最適なアクションを教えてくれる。個人向けの小規模なものを「Smart Planter™」としてすでにプロトタイプをリリース済みで、特許も申請している。3桁を超える実証実験も行なっており、日々データが蓄積されているそうだ。

2019年中に発売予定

しかし、PLANTIOがアップデートしたいのは「プランター」そのものではない。彼らが挑戦するのは、食の生産、流通、そして消費という、食に関する一連の流れにイノベーションを興し、新しいカルチャーを生み出すことだ。

代表の芹澤はこう言う。

「僕らが目指す社会では、主役は“人と農作物”なんです。雨が降ってないから、そろそろ水やりをしなきゃいけない。収穫時期になったから、摘みにいかなきゃいけない。農作物がコミュニティビルダーとなり、野菜を中心に、人が動き、集まる。そして新しいコミュニティが生まれるんです。」

PLANTIO代表の芹澤氏。30代の起業家にして、祖父がプランターの発明者である、というバックボーンを持つ

PLANTIOは、プランターによって「都市部の個人宅でも農作物栽培が効率的にできるようになる」という世界を見ているのではない。プランターによって人が交流し、新しいカルチャーやコミュニティを創るためのスタートアップなのだ。生産した農作物は、自分たちで消費するほか、飲食店に持ち込むなど、流通にまで影響を与えていく狙いだ。

見据える巨大市場

「東京をはじめ、名古屋、大阪はもちろんのこと、台湾、上海、香港、シンガポールなどの大都市圏はすべて僕らのターゲットです。都市部では、自然と触れ合う機会が減っていることや、食料自給率が低いこと、人と人との触れ合いが少ないことなど、様々な危機意識があり、僕らのプロダクトやサービスはそれを解消できます。すでに東急不動産と共同で、渋谷区のビルの屋上にIoTファームを作るなどの試みが実現していってます」

近隣地域の人たちが集まるIoTファーム。そこでは、例えば江戸時代に東京で栽培されていた「渋谷茶」の栽培を検討するなど、ここにしかないものを育てる楽しみを追求していく予定だという。確かにそこに人が集まり、コミュニティで栽培を楽しみ、育ったものを流通させたり消費したりする姿が目に浮かぶ。

しかし、芹澤の視野は都市部の栽培をエンパワーメントをするだけにとどまらない。PLANTIOのIoTデバイスには、様々なデータの収集と、その結果のモニタリングができる、というほかの製品にはない強みがある。土壌の温度や水分量、外気温、日照時間などを収集、そして、結果として農作物がどういった状態になるのかを画像分析によって診断する。

「これらのデータは、既存の農業にも提供できる貴重なものです。もちろん国や地域によってローカライズする必要はありますが、IoTだからこそ、全世界の食卓を、そしてさらには農業を変革できる可能性があります」

PLANTIOは単なるアグリテックではない、一般消費者を巻き込むアグリテイメントだ

テクノロジーで切り込むために必要とされる、エンジニアの力

この芹澤のビジョンに対し、孫泰蔵氏をはじめ、複数の著名なベンチャーキャピタルや事業会社が出資を行なっている。また、ディープラーニング、そして人工知能開発に当たるPLANTIOのチームは、本腰でそれらに取り組むことができる重厚なチーム編成となっている。

PLANTIOのチーム

さらにPLANTIOには、シャープを買収し、世界的なものづくり企業として名高い鴻海精密工業(ホンハイ)も支援者として名を連ねる。ビジョンだけでなく、プロダクトを造り、世界に広げていくための資金やチーム、サポート体制も磐石と言えそうだ。

一方で、そんなPLANTIOにも当然課題はある。それがエンジニア、そしてデータサイエンティストがまだまだ十分に足りていないということだ。

「PLANTIOは、農家の業務支援ソフトではなく、あくまでもC向けにサービスを展開していくスタートアップです。そのためにはやはりアプリエンジニアの力が必要です。日本ではiPhoneユーザーが多いが、世界はAndroidが優勢。僕らはグローバル展開を見越し、さらに開発をスピーディに進めるため、ionic(アイオニック)を採用してアプリ開発を進めています。
そして、世界でおそらくうちだけが保有できる、農作物に関しての大量データ。これを使って、より良い農作物を育て、カルチャーを創るにはどうしたらいいのか、一緒に考えてくれるデータサイエンティストの存在が不可欠です」

アプリとしては農作物の状況を知らせるだけのものではなく、自分が育てた野菜を飲食店に提供したり、育てたメンバー同士で流通させたりと、まさに新しいカルチャーを創っていくことが求められる。自分が作ったアプリが世界中で使われ、それが「新しい当たり前」を作っていく経験は非常に刺激的だろう。
同じく、データサイエンティストも刺激的な仕事になるだろう。PLANTIOが収集したデータ、さらには気象などのオープンデータなど、彼らが取り扱うデータは幅広く、深い。それらを地域や季節ごとに分析し、ユーザーに次の行動を促す、まさに人工知能を作り上げていくのだ。

代官山に本社を置くPLANTIO、前述の通りすでに近隣ビルでのIoTファームを手がける

「現在はまだまだ若いステージにいるスタートアップなので、ストックオプションなど金銭的なインセンティブも大きく検討する余地がある状態です。成長環境ややりがいだけでなく、そういった野心も当然持っていただきながら、”まずはチャレンジしてみる”というスタンスの人と一緒に仕事がしていきたいと考えています」

世界に対してイノベーションを起こすかもしれないスタートアップ、PLANTIO。スタートアップに興味があるエンジニアならチェックしておいて損はない会社だ。

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