自動車産業は大変革期、ITで自動車所有のあり方を変えたい

自動車は今、ディープラーニングやAIといった技術の最新トレンドが集積している。今後電気自動車の普及により自動車自体の構造が単純化されると、異業種からの参入が増え、市場のルールも変わっていくだろう。ダイナミックな変化を遂げようとする自動車業界で、自動車流通業界のトッププレイヤーである株式会社IDOMは、ITの力で自動車所有の新しいかたちに挑戦している。

ITで自動車の産業構造がダイナミックに変化する

過去、市場はハードウェア・流通を抑えているところが覇者だった。ゲームで言えば、ハードウェアとなるゲーム機器があり、その市場は4000億円規模だった。しかし現在、インターネットが普及し、スマートフォン用のゲームアプリが登場したことで流通形態が変わり、ゲームアプリの市場規模は6000億円にまで成長した。また音楽でもCDがネット配信モデルへと移行。業界の覇者はグーグルやアップルといったIT企業に変化した。

NOREL事業部責任者の許 直人氏。2013年に入社したグリー株式会社では、パートナー開拓、メディア事業、新規事業企画推進などに従事。それ以前には事業開発コンサルティング、ウェブアプリケーション開発も経験。2015年9月、株式会社IDOMに入社。

IDOMが展開する、月額定額制で自動車に乗ることができるサービス“NOREL”。その事業部責任者の許 直人氏はこのように話す。

「インターネットと既存の産業が結びつくと流通の構造がガラッと変わります。自動車産業は日本のGDPのおよそ10%(50兆円)を占めていますが、その産業構造がITによって変わるのならば、そこはチャンスの塊。実際、ディープラーニングやAIといったITのトレンドは自動車産業に集まってきています。車内ネットワークはギガビットイーサネットがレギュレーション化されつつあり、グーグルやアップルは自動車用OSの投入を開始。そういった環境が整っていく中、IoTやビッグデータといった技術は今や自動車を中心にして動いているように私には見えます。そんな人や資本が集まるこの産業が面白くないわけがありません」

自動車というハードウェアが現在、主流であるガソリン車に代わって電気自動車の普及率が拡大し、自動車自体の構造がもっと簡単になれば、異業種から自動車メーカーとして市場に参入するのも難しくない時代になるといわれている。

「自動車がモジュール化され、ハードウェアのコモディティ化が進めば、ソフトウェアによる差別化が起こります。市場の構造が変わったとき、どこのポジションにどんな新しい勝者が生まれるのか、非常に興味がありますね」(許氏)

NOREL事業部CTOの渡部慎也氏。2012年に入社した株式会社ディー・エヌ・エーではリードエンジニア、技術コンサルタントなどを経験する。2017年2月、株式会社IDOMへ入社。

このような状況にある自動車産業に、エンジニアとして参加したい、当事者として動かしていきたいと考えた一人が、NOREL事業部CTOの渡部慎也氏だ。彼は前職、大手IT企業でゲーム開発に携わっていた。その頃からハードウェアの方に興味を持ち始め、IT企業にいるより、ハードウェアを持っている会社に入り、その会社が持つハードウェアにITを結びつけた方が早いと考え、IDOMに入社した。

エンジニアの採用力強化と定着を目指す

どこにいたら成長できるのか、エンジニアの仕事選びにおいて重要なポイントだ。

エンジニアの活躍を目指すのであれば、エンジニアにとって働きやすく、スキルアップできる環境があることが前提となる。つまり会社側にエンジニアを受け入れる土壌が整えられているのかどうか。それは採用力の強化へと直結する。

「現在、採用面接には当社エンジニアにも入ってもらっています。エンジニア同士だからこそわかるというものが多くありますから。エンジニアにマッチする人事制度の構築や、非エンジニア人材の巻き込みなどを通じて、エンジニアが活躍しやすい土台が日々整っていっています」(許氏)

NORELはエンドユーザーとの距離が近いサービスだ。そのため、ユーザーのニーズに対し、常にアンテナを張り続けることが求められる。

「ユーザーに近いサービスであるため、マーケットの温度感は感じ取りやすい。しかし、マーケットにそっぽを向かれたらサービスを存続することも難しくなるので緊張感や不安感も強い。当社ではエンジニアは決められたものを作るのではなく、作るものを決める側に立つことになりますが、それは利益や事業の成長を望めるものでなければならず、自走できるエンジニアでなければ厳しい会社でもあります」(渡部氏)

2003年に同社のCMキャラクターを務めた松井秀喜氏のサインが入ったユニフォーム

エンジニアと営業がひとつのチームであること

NORELは、エンジニアと営業職がひとつのチームとして動いている。2年前、許氏が入社してから、チームとして機能するまでは苦労もあったという。ネクタイを締めた営業職がいる部署にTシャツを着たエンジニアが数人という、独特な雰囲気の中でのスタートだった。

「営業職から見たら、“よくわからない仕事をしている人たち”という認識だったと思います。それが急にひとつのチームとなってビジネスを進めていくことになりました。デジタルトランスフォーメーションの裏でカルチャートランスフォーメーションが並行して行われたことで、文化的な融合やお互いの理解が深まっていったのだと思います。今では相互に情報交換、意見交換しながら、ひとつのチームとして取り組みができるようになりました」(許氏)

IDOMは意思決定が早く、スピード感ある経営を行っている。なにかあれば社長や役員に話がすぐ届き、また“なんでもやってみよう”という風土が根付いている。そんな会社の中で許氏は、「日本国内に個人・商用合わせて8000万台が登録されている自動車の所有のあり方を変えていきたいと思っています。気軽に乗り換えができる環境を作っていきたい」と話す。

オフィスの壁には“目標”が貼られている。大手企業でありながらベンチャー魂は忘れていない

ストイックで意識が高い、新しいエンジニアを募集中

NORELは、今後の展開や技術の話を、外部から参加しているエンジニアを含め、広く行っているという。そのため同社には、新しい技術などにもストイックで意識が高いエンジニアが集っている。

「現在、ウェブアプリケーションエンジニアを募集しています。求める人物像としては、事業の成長のために動ける方や事業にコミットできる方、スタートアップでなんでもやっていましたという方、実際に自分で作ったものがどう動いているのか興味がある方、マーケティングに興味がある方はぜひ。必要な技術とかは仕事をしながら学んでもらえる環境はあります。我々もお互いに得意なものは教え合って、わからないことはみんなで共有して解決しています」(許氏)。

「NORELを立ち上げてわかったことは、全社で使われている基幹システムの中には2008年頃の古いシステムがまだ存在しているということ。IDOMでは、「人とクルマの関係」をもっとスマートにするために、今後もNORELだけでなく新しいサービスを立ち上げていく予定です。そのために、基幹システム自体も新しい技術を投入して改善を進めていきたいと考えています。マイクロサービス化やJavaでのリプレイスなどを行い、新しいものに適応できるようにしていく必要があります。それらが当社の提供サービスに本当に適したものなのかどうか、そういった目線も求められます。チャレンジしたいというスタンスをお持ちの方、大歓迎です」(渡部氏)

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